北山 早苗 http://sanae.voicejapan.net
活動報告バックナンバー
2004 年 10 月 22 日
人に気持ちを伝えられない子ども達を支える、アーチルの活動
〜さわやか早苗日記312〜
 県議会社会衛生委員会の視察で、仙台市発達相談支援センター『アーチル』を訪れた。
 ここは、障害を持つ人たちを、幼児期、学齢期、卒業してからというように年齢で分断することなく、乳児期から老年期まで一生を通して、地域での生活を支援する目的でつくられた。支援の記録は拡大母子手帳のようなファイルとなって、次へ繋ぐ為の資料となる、これにより、例えば学校へ上がる度に、お母さんがあちこちで同じことを言うような必要はなくなるそうだ。
 また、従来のように物差しで測って支援の対象とする、しないというようなことは行わないため、1〜3歳のうちから、子どもについて気になることがあれば、親が相談を受けることが出来る。これまで幼児期には気づかなかった、何らかのつまづき(障害)を持つ子供を、小さいうちからフォロー出来るようになったそうだ。
 このような支援体制をとっているアーチルには、学習障害(LD),注意欠陥・多動性障害(ADHD)など、知的障害を伴わない発達障害をもつ子供たちが、医療機関から相談を受けるよう言われてやってくる。
 アーチルが活動を始めてわかったのが、実は、言葉が遅れていると言って相談に来る半数が、高機能自閉症といわれる、能力的には高い子供達であることで、これは驚きだと所長は言っていた。
 このような子供達は、自分の気持ちを人にうまく伝えられない。しかし、幼児期には表面上わからないため、大きな集団に入った時に障害が顕在化してくる。
 何と、子供達の7.8%が何らかの配慮が必要であり、特に、大集団に入る前の小さいころ(1〜3歳)からのフォローが大事と言う。

 アーチルには、成人の方が「自分は自閉症なのではないか、自分を理解して欲しい」、「私は何もの?とずっと悩んで来た」などと相談にくるケースがあるそうだ。責任を持って仕事ができない、自信がもてず自尊感が低い、しかし能力があるが故に周囲からは理解されずに、非常な孤独に陥っている。
 私はこの話を聞いていて、有明の家の青年達を思い浮かべた、心に憂いを持つことが外からは全くわからない、優等生タイプの青年達だ。傍目に見たらカッコいいなあ思える青年と優しそうな母親が、波場先生の面談をうける席に居させてもらったことがある。青年が、引きこもってしまっている自分の悩みを「自分がどこから来て、どこへ行くのかわからない」と話した。
 不登校や引きこもりの中には、おそらく自分の気持ちを人にうまく伝えられないこと(自閉症)が、原因となっている場合が多いのではないか?
 引きこもりの青年達をサポートする虹の村診療所では、自分の感じたこと皆の前で話すことを繰り返し行っている。子供の頃に出来なかったことを今行っているのだ。

「人は人の間に生きているから人間と言う」と学んだことがあるが、人や社会から必要とされているという気持ちが持てて、人の間で生きられる。
 それには、つまづき(障害)を、人の個性なのだと考え、認め合える社会が必要だ。人に気持ちがうまく伝えられないだけで、周囲に理解されず、社会に出て行けなくなるほどに深刻化してしまのは、その人が悪いのではない。人の多様性を受け入れられない今の日本社会が悪いのだ。
 全国で220万人が引きこもっていると言われていて、これは日本の深刻な社会問題といえる。自分の気持ちをうまく伝えられない7、8%の子供達を、理解し支えてあげる社会になれば、また、小さい頃につまずきを見つけ、早くに対処してあげれば、大人になって引きこもることは防げるのではないか。
 アーチルのような活動がとても大事であると感じた。

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