北山 早苗 http://sanae.voicejapan.net
活動報告バックナンバー
2006 年 5 月 25 日
県内の宝を活かして、エコライフ推進課が進める滋賀県の環境教育
〜さわやか早苗日記394〜
 22日は、私と林奉文議員で、環境教育の推進について、生活環境部・地球環境チームの企画ユニットや、教育委員会教学指導チームと懇談した。先日、あおぞらで調査して来た、幼児期からの自然の中での遊びや体験を通して学ぶ環境教育について、丹波市市島町の取り組みや、滋賀県の取り組みを紹介したりした。

 あおぞらでは、5月12日に、滋賀県総合教育センターで行われた新任園長先生への環境教育研修、13日には滋賀県環境学習支援センターにおじゃましたが、滋賀県では、自然体験を重視し、自然の中で遊び楽しむことで、五感通して自然を感じ、人もまた自然の循環の一部である事を学ぶという環境学習を、全保育園、幼稚園で行って欲しいという県知事の肝いりで推進している。

 その環境教育の要になっているのが、琵琶湖生活環境部・エコライフ推進課で、滋賀県環境学習支援センターもこの組織の中にあって、幼児から高校生までの『環境学習の中間支援』をやっている。教育委員会ではなく、このような部署が、環境学習の推進を具体的に、教育現場へ働きかけている事が、大変ユニークだと思った。エコライフ推進課という名前の課が存在すること自体が、面白い。

 私は、『環境学習の中間支援』と聞いた時に、以前訪れたドイツ・ハノーファー市の学校生物センターを想像していた。市内の学校から自然について学びにくる子供たちを受け入れたり、学校の先生をサポートしている、森の中にあるセンターだ。(ハノーファー市学校生物センターhttp://www.azm.janis.or.jp/〜vinsan/sanae/sanae0406-d9.html)
 ところが、滋賀県環境学習支援センターは、滋賀県水環境科学館の建物の中の一部屋を使用し、そこに3人の生活環境部・エコライフ推進課職員と、毎月16日間勤務の4人の嘱託職員(幼児担当、小学生担当、中学生担当、高校生担当の環境学習推進員)が勤めているだけのセンターだった(写真上)。
 でもここは、滋賀県全体から環境教育に関する情報を収集し、それを発信・提供したり、教育現場に働きかけるコーディネート役をやっている、スゴい所だとわかった。

 滋賀県環境学習支援センターは、環境保全行動につながる環境学習を推進する拠点として開設され、環境学習に取り組む県民、地域団体・NPO、学校、事業者、行政等の取組の充実や、ネットワークづくりをサポートしてる。
 例えば、「琵琶湖の保全」や「地球温暖化」をテーマに学習会を開催したい場合、環境学習情報ウェブサイト「エコロしーが」 で事例や講師を探すことができる。また、センターの環境学習推進員が相談に応じ、支援を求める人と提供できる人との橋渡ししたり、環境学習リーダー養成講座などの人材養成にも取り組んでいる。
 「エコロしーが」 の学習プログラムを開くと、取材記録というのがある。これは、センター職員が直接取材に行ってつくられたページだ。現場に出かけ、環境学習に取り組む人と人の橋渡し役を職員がやっているのだ。

 教育センターで行われた新任園長先生への環境教育研修も、エコライフ推進課の環境学習支援センターが教育委員会に働きかけ、数年に渡って行われているものだ。スウェーデンで長年行われて来たムッレ教室を、兵庫県丹波市市島町で16年間進めて来た(前回の日記で紹介)高見豊さんが講師になって、環境教育研修が行われていた。
 高見さんの研修は、まず2時間が外での自然体験学習だった。高見さんがムッレ教室のリーダーとなり、新任園長先生たちが子どもたちになって、自然の中で遊びながら、人もまた自然の循環の一部である事を学ぶ。教育センター職員(教育委員会)も、調査に参加した私たちも子どもになり、楽しく学んだ(写真下)。
 新任園長研修だけでなく、滋賀県では県が主催するムッレリーダー養成講座を年に数回行い、公立私立の区別なく、幼稚園や保育の先生が参加し、リーダーになれる。参加費用は無料とのこと。
 こうやって、リーダーになった先生たちが実際にムッレ教室を自分の勤める園で行い、そのときつくった自然体験学習プログラムを、エコライフ推進課の環境学習支援センターがまとめ、滋賀県版ムッレ教室のプログラム『うぉーたんの自然体験プログラムhttp://www.pref.shiga.jp/kakuka/d/ecolife/kankyo-youji/』がつくられ、滋賀県内の全園に配られた。新しいプログラムが出来ると、追加配布され、ファイルされるようになっている。
 滋賀県は、県土の97%が琵琶湖の集水域のため、琵琶湖の環境によって、県民生活や健康が大いに左右されることから、宇宙船琵琶湖号に県民が乗っていると称されている。そんな滋賀県だからこそ、県内の全園でムッレ教育を行うことをめざすことで、幼児期の子どもの心の中に、『自然は崇高なもの、大切なもの』だとしまわれることが大事だというわけだ。こうやって滋賀県から、自然環境を守ろうとする人が育つ。
 でもそれは、滋賀県民に限らない。私たちは皆、宇宙船地球号に乗っている。

 スウェーデンではムッレ教室が40年間行われて来たため、国民の1/3が、ムッレ教育を受け、自然を享受し大切にしようとする国民性が培われて来た。
  高学年になってから例えば環境破壊の勉強をしても身に付いたものにならない。ムッレ教室で学んだ大人が「子どものころはさんざん自然の中で遊んだが、自然についてこういう捉え方をした事はなかった、小さい頃に教えて欲しかった」と言ったそうだ。自然が豊かな所に育っても、『自然の循環のサイクルの中に人も含まれる』事を意識して、幼児期から学ぶ必要がある。
 県をあげて、その事に取り組もうとする滋賀県が、羨ましいと思った。実際に進めるのは大変との事だったが、スウェーデンだって30年、40年という長いサイクルで行って来た事だ。
 そして、その推進にあったっては、特別大掛かりな事をやるのではなく、県内ですでに行われている環境学習や自然保護の取り組みを、エコライフ推進課の環境学習支援センターが情報収集と発信をベースに、コーディネートする事で可能にしているのだ。
 長野県にも、環境学習や自然保護の取り組みを行っている人たちは沢山いる。すでにあるものや人(宝)を活かし、情報収集と発信を通して、人と人、ものと人を結ぶコーディネート役が、これからの県の仕事ではないだろうか、ということもつくづく感じた。

 長野県の生活環境部・地球環境チームの企画ユニットや、教育委員会教学指導チームと懇談でもそんな話をすると、最後の方、職員の皆さんは目を輝かせていた。職員の方も、また、長野県の宝だと感じた。
滋賀県の環境学習情報 エコロしーが

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