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2007 年
11 月
7 日 人々の目に触れない、究極の無駄な公共事業を生む砂防ダムの実態 〜さわやか早苗日記462〜 |
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右の写真の川の写真は、どちらも同じ島々谷川だ。上は本来の美しい島々谷渓谷、下は島々谷第3号砂防ダムによって渓谷が埋まってしまったもの。渓流保護ネットワークの田口康夫さんの案内で、上高地に行く手前にある島々谷川の様子を調査した。第3号砂防ダムは、国交省松本砂防工事事務所が建設し、今から30年ほど前の1978年に完成した、高さ31mのアーチ型砂防ダム。現在は、一番下左の写真のように、殆ど土砂で埋まっている。ダムの堆砂の影響は上流まで及び、渓谷を埋めてしまった。 実は、3号というのだから、上にも下にも砂防ダムがあり、美しい島々谷渓谷を埋めている。特に、既存の4、5、計画中の6号は、わずか600mほどの間に連立している。6号ダムは、田口さんたち自然保護団体の要請で、公共事業チェック議員の会の国会議員や田中前知事が視察し、建設は今のところストップしている。 砂防ダムは「防災=土石流などから人や家、施設を守る」という名目で、多くが人の目に触れないような山中に造られるため、反対運動もほとんどなく、今でも沢山の砂防ダム建設が進められている。村井知事は、田中県政で砂防ダム建設を怠ってきたために、災害が起きたかのように選挙中はアピールした。砂防ダム建設は村井知事の公約と言っても良いだろう。 しかし、砂防ダムを造ることで、返って、土砂流出や土石流による災害を招くことがあり、この島々谷川はその典型と言える。 31mもある島々谷第3号砂防ダムが土砂で埋まったのは、その上流に砂防ダムを造った際の工事により、土砂が流出したり、また、砂防ダムを造るための工事用にトンネルを3つ掘り、掘った土を島々谷川の河原に捨てたりしたことが、大きな原因になっていると田口さんは指摘する。 一番下右の写真は、6号砂防ダムを造るために、鈴小屋トンネルを掘った際に出た土砂を、河原に積んだ(捨てた)もの。写真真ん中あたり白く見えるガードレールの向こうにトンネル入り口がある。そして、手前の上流側に高く積まれているのが捨てられた土砂、膨大な量だ。 実は、川には自然にできた遊砂地があり、狭い渓谷を勢い良く流れた洪水や土石流は、一旦、このような河原の広くなった場所(勾配が緩い、又は、狭い谷の手前)で、流速が落ち、そこに土砂が溜まる。溜まった土砂は、普段の流れで少しずつ下流に運ばれる。自然のままの川は、このような営みを繰り返している。 ところが、下写真のように、人為的に土砂を盛り、自然の遊砂地をなくしてしうと、その結果、洪水や土石流の運ぶ土砂が、下の砂防ダムまで到達する。3号ダムの上にはトンネルが3つ、そのための土砂捨て場がいくつもあった。土砂を止めると言って砂防ダムを造り、それだけでは足りないと言って、上流に砂防ダムを造る。ダムだけではなく、工事用の道路、トンネル、土捨て場、、、結果、下のダムは埋まり、するとまたその上流にダムを造ろうとする、こうやって、美しい渓谷はダムだらけになってしまった。 捨てた土砂が流れ出さないよう蛇籠で造った護岸が壊れている場所もあり、滑稽としか言いようがない。 私たちは美しい渓谷を失っただけではない、税金の無駄遣いと借金も背負った。 3、4、5号砂防ダムの建設費は、ダム本体だけで、合計して7億7千万円、3つの工事用トンネルの建設費は、10億4千万円である。これ以外にも、調査費やら工事用道路の整備やらで、さぞ大きな費用がかかったことだろう。 島々谷川だけではない、日本中のあちこちで、税金を投じ、借金をして、このような自然破壊が繰り返されている。そして借金だらけになった日本は、年金を減らし福祉を切り捨て、交付税を減額し山村の集落を切り捨ようとしている。もうこんな、悪循環は断ち切らなければいけない。 もし6号ダムが建設されれば、山奥で大きなダムのため、建設費は本体だけで10億円以上だろう。下の写真の、右上はトンネル出口(上流側)の写真だ。先は行き止まり、4、50m下には島々谷渓谷の流れがある。向こうの山腹の崖には、調査用に掘った横坑が2つ見えた。また、工事をする際に流れを迂回させるために掘った水路用のトンネルは、すでに完成している。 6号ダムは寸でのところで止まったわけだが、国交省や造りたい人たちは、あきらめたわけではない。42mの計画を21mのダムにすると言ってみたりして、造る機会を狙っているようだ。彼らには工事をすることが目的だから、とにかく、造り続けなければいけないのだ。 ここで、河原に捨てられた土砂の悪さついて、田口康夫さんから聞いた話を紹介する。砂防ダムを埋める他にも、この土砂のために、下流で護岸が削られ、道路がえぐれてしまうなどの災害が起きているとのこと。 そのメカニズムは、土砂が川幅の半分以上に盛られたことにより川幅が狭くなり、洪水時、本来なら川幅いっぱいに流れるものが、盛り土によって絞られる。すると上流からの水は絞られたために溜まり、その水が絞られて狭くなったところから勢いよくとび出すように流れる。それが盛り土の下流の護岸にぶつかり、護岸が崩壊する。3号ダムと4号ダムの間にはそのような場所が3カ所ほどあった。 また、3号ダム下流の島々谷集落に近いところにある、河原の土捨て場の下流には、昨年夏の豪雨災害時に、上記のメカニズムで護岸が崩れ、道がえぐられ、災害復旧費で直したばかりの場所があった。ダムを造り、土砂を捨て、そのために護岸が崩れ、また工事が出来る、エンドレスの(おいしい)公共工事というわけだ‥‥。 しかも、この土捨て場は、放っておくと島々谷集落が危ないと、田口さんは指摘する。集落横の島々谷川は、砂防堰堤が造られたため、土砂が河原に堆積し、河床が上がり天井川になっている。もし、先の護岸が崩れたところで水が溢れれば、道路が流路とな土砂まじりの洪水が集落を襲うことになる。しかも、土捨て場の土砂もその洪水とともに流れ、集落を襲うことになるわけだ。 よく、「上流に不安定土砂があるから、下流の人家を守る」と言って砂防ダムを造るが、何のことはない、島々谷では、その不安定土砂は砂防工事のために人為的に捨てられた土砂というわけだ。 おまけに、島々谷川が梓川(本川)に出る付近にある橋や護岸は、その上の砂防堰堤で土砂が止まり、土砂が供給されなくなった為に、河床が下がり、橋桁や護岸の基礎部分が流れに洗われ、むき出しになってしまっていて、放っておくと危ない。人為的に土砂をコントロールしようと、砂防施設を造った結果がこれだ。全く愚かな話だが、実は、自然の力を人が押さえようと手を入れるということは、こういう結果をもたらすということで、日本中には、こんな場所が溢れている。 田口さんたちは、これ以上無駄な砂防ダムを造らないために、国に提案をしている。それは、既存の砂防ダムにスリットを入れ、土砂を少しずつ下流に流すことだ。また、自然の渓流は土砂の流れをコントロールする力を元々持っているので、牛伏川のように渓流を復元することだ(8/14日記参照)。 公共事業は、このようなものに質を転換することが急務だ。長野県の豊かな自然環境や美しい渓流を守ることが、結果として、県民の暮らしを守ることになる。 渓流保護ネットワークHP | ||
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