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2006 年 5 月 12 日     カテゴリ:活動報告
蒲原沢災害裁判の判決と知事のコメント。あおぞらの政務調査活動
〜さわやか早苗日記393〜
 北安曇郡小谷村の蒲原沢(がまはらざわ)の、国や県が発注した工事現場で、1996年12月作業員14人が死亡した土石流災害があった。この災害で、遺族が国と長野県、請負業者に1億1600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が10日、地裁松本支部であった。田中治裁判長は「災害の予見可能性があったとは認められない」として、原告の請求を棄却し、国と県の過失を認めなかった。
 原告は、土石流に巻き込まれて亡くなった3人の方々の遺族10人。99年11月に、「発注者の国や県は適切に工事を監督する責任を負っており、災害防止措置を講じる義務を怠った」として提訴。今年1月までに23回の口頭弁論を重ねた。
 原告側は、国などが95年にほぼ同じ場所で起きた土砂災害の後、源流部で現地調査を行わず、融雪量や雨量などの気象条件もしっかり把握していなかったとし、「工事前に土石流の発生は予見できた」と主張していた。
 しかし、田中裁判長は「過去に全国で報告された土石流の発生は雨量が100mmを上回ることが大半で、今回は前日からの雨量を40〜50mmと推定し、予見は出来なかった」として、被告側の主張を全面的に認めた。
 しかも、「仮に災害前に調査していても、災害後と同様の綿密な調査がされたとは限らない」として、詳しい調査をすれば予見はできたはずとする原告の主張も退けた。
 
 裁判官の理屈は、おかしいなあと思う。災害後に行われたように詳しく調査すれば避けられたとする主張に対して、調査しても無駄というような言いっぷりだ。
 原告弁護団も、「現地調査をしても、災害の予見は出来なかったかもしれないなんて、おかしな話だ」と言っている。
 当時は、とにかく長野冬期オリンピックに間に合わせようと、国も県も躍起になっていた、そんな中での災害だ。犠牲者は松本の方が1名で、殆どが出稼ぎの方々。地元の小谷村の人々がいないのは、「危険性を地元の人は分かっていたからだ」と言う人もいる。
 当時の吉村午良長野県知事と建設大臣は、災害現場に降り立ったとたんに、「これは天災です」との言葉を発したと言う。
 原告被害者を支援してきた『公共事業と災害を考える会』の内山卓郎氏によると、蒲原沢土石流災害の前年1995年に、姫川沿いの小谷村などが豪雨災害に見舞われた際、蒲原沢で土石流が発生し新しい橋が壊れた。その後、国は姫川支流全体の航空写真を撮っている。その写真には蒲原沢上流の崩壊発生地点がはっきり写っていたにもかかわらず、国は分析もしなければ、調査もしなかった。これは、天災ではなく人災だ。労働者の安全を無視した行政のやり方と、裁判所の判断に怒りを感じる。

 今回の判決に対して、国は「私どもの主張が裁判所に理解していただけた結果だ。今後も砂防工事の適正な遂行に努める」と言った。
 これに対して、田中知事は「災害の発生は人命を第一に守るべき行政の責務をいかに果たすか、行政に携わる者すべてに再考を迫る大きな警鐘だった。今後とも県政の各局面において、この点を最重視、再確認しつつ適正な行政執行に努めていく」とのコメントを発表した。
 どちらが血の通った言葉かは、歴然としている。私たちが求めているのは、庶民の傷みの分かる血の通った政治だ。8月の知事選で県民はそこをしっかり見極めたい。

 さて、県議会では今年度は知事選やら県議選やらで、政務調査費が使い切れないから、出来るだけ前倒しで使おうということで、沖縄やら北海道に視察調査に出かけることがはやっているとか。長野県議会は領収書の添付も義務づけており、政務調査費の公開度は全国1だそうだが、中身の精査も必要。県議会議員の仕事は、チェック&提言であるなら、当然政務調査費を使った視察調査は、県議会での質問、提案のためであるべきだ。
 あおぞらでは、先日、野外体験重視の環境教育を公立の学校や保育園のカリキュラムの中に取り入れて来た、旧市島町(兵庫県丹波市)の取り組みと、鳥取県の男女共同参画センター『よりん彩』を、視察調査してきた。これらは、これまでにあおぞらで質問等で取り上げて来たが、再度県当局に質問・提案するために、先進的な取り組みなどを調査する目的でおじゃました。

 スウェーデンではムッレ教育という自然の中で五感を通して体験することにより、子どもたちが人もまた自然の循環の一部である事を学び、育つと言う、素晴らしい環境教育のプログラムがある。1970年代に始まり、ムッレ教育を受けた人は国民の200万人にも及び、ムッレ教育で育った親がリーダーとなって、子どもを育てているという。
 旧市島町は日本のムッレ教育の発祥の地であり、町内の保育園で最初にムッレ教室をやり始めてから16年目になる。よしみ保育園ではムッレ教室の春のプログラムに私たちも参加し、こどもたちと野道を歩いた。16年目になる先生は「準備と片付けが8割を占め、心の中で負担に思う事もあるが、子どものために良い事だから続けて行きたい」「続ければ自然を守る事が、子どもにとって当たり前の事になる」「小学校に上がって続かなくても、崇高なもの、大切なものとして、記憶の中で続いていく」と話された。
 保育園でムッレ教育を受けた子どもたちが学ぶ鴨庄小学校では、年間の学習計画を立てる際、1、2年は生活科、3、4年は総合学習、5、6年は地球環境の学習で、自然体験の環境学習に取り組むことで、先生たちの共通理解ができているそうだ。
 公立の保育園や学校ではカリキュラム入れるのは難しいと言われがちだが、やる気の問題である。

 兵庫県丹波市市島から鳥取県倉吉市まで、各駅停車の電車を3回乗り継いで5時間・・・、鳥取県男女共同参画センター『よりん彩』は、倉吉パークスクエアという総合施設の中にある。人の集まり易い場所にある事は確かだが、人々が気軽に寄れるような工夫を随所にしていた。
 入り口をはいると、中央に図書コーナーがあり、新聞や本が読めるスペースがある。相談日も女性相談だけでなく、男性相談日があったり、女性のための就職相談の窓口もある。子育てや生き方など男女共同参画に関係する事なら誰でも無料で使える会議室や、紙だけ持ち込めば印刷製本まで出来る機械も使わせてもらえる。
 よそ行きに着替えなくても、普段着の自分を支えてくれるようなセンターという感じがした。
 これらの視察調査をもとに、あおぞらでは県議会で質問、提案して行きたい。
蒲原沢裁判の判決結果について


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