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2006 年 12 月 5 日     カテゴリ:活動報告
浅川ダムの内水災害への効果と地滑りによるマイナス効果との比較
〜さわやか早苗日記422〜
 12月2日に、浅川・千曲川等治水対策会議の住民の皆さんが中心になり、あおぞらなども一緒に、『浅川のダムなし総合治水を考える緊急集会』を開催し、100人以上が参加して、 浅川ダム予定地の地質の危険性について学んだ。
 田中前県政の『脱ダム』宣言後に開かれた『県治水・利水等検討委員会』の委員であった松島信幸氏(地質学・理学博士)が、ダム予定地の地質について講演した。
 松島氏は、自身が県職員とともにトレンチ調査をした結果をもとに、浅川ダム予定地で見つけたF-V断層は、活断層であるとの説明をした。理由は、浅川の旧河床礫の層に、この断層が影響を与えていることや、断層の中に礫が引きずり込まれて礫と粘土が混じっており、これは礫層の堆積後に何回も破壊が繰り返されたと考えられることから、F-Vは、活断層であるとのことだった。
 活断層はどのように判断するのかと興味津々の私は、なるほど!と思った。

 更に松島氏は、ダム軸のブランド薬師山斜面にある、線上凹地(線上にある窪地)のトレンチ調査も行った。この調査では、窪地の地下に活動性のある割れ目があり、そこに崩れて来た土がたまっている様子が確認でき、何度も動いては割れ目が広がっている様子も確認した。活断層との関係で、詳しい調査が必要とのことだった。
 吉村前県政時の2000年2月『地滑り等検討委員会』の報告で、ダム建設に支障がある活断層の存在はないと報告書が挙げられた。これについても、松島氏は、地質調査を請け負った会社はそれなりの調査をしたと思うが、調査結果をチェックする機関が存在しており、断層を熱水帯と書き換えたり、土木に都合が良いような書類となって報告される仕組みが、公共事業では出来上がっていると話された。

 このように、浅川ダム予定地は地滑り地帯で、活断層が横断している可能性もある危険な地帯だ。こんなリスクを負いながら、ダム、または河道内遊水池(普段は水の貯まらないダム)を造ることが、果たして、長沼、豊野の洪水災害にどれくらい効果があることなのか??
 長沼、豊野の洪水災害は、千曲川の水位上昇により浅川から水が流れ込めずにあふれる内水氾濫だ。この内水災害に対するダムの効果を、先日、私は河川課の浅川担当職員に質問してみた。
 まず、千曲川が増水し、浅川水門が閉鎖、排水ポンプもこれ以上の排水は千曲川本川の決壊の恐れがあるとして、ポンプが停止になったS58年水害のときに、浅川ダムかあった場合とない場合の合流点での湛水量について、聞いてみた。
 その結果、内水災害に浅川ダムが及ぼす効果は、現状のポンプ能力では5.6mm、ポンプ能力を上げても3.1cmほどに過ぎないことがわかった。私が「では、ほとんど効果がないということですね」と言うと、職員は「効果がないということではなく、あまり関係がないということ」と言っていた。

 「それでは、浅川ダムの目的は?」と聞くと、外水対策だというので、私が「それは、具体的にどういう場合か」と聞くと、「千曲川には関係なく、浅川の上流だけに集中豪雨があった場合に、ダムを造る必要がある」とのことだった。
 私が「これまで、そのような水害はなかったのにダムを造ろうとし、何度も内水災害にあって困っている下流の方は放っておいたなんて、おかしいですよ」と言うと、「100年に1度起こりうる雨に備える必要がある」との答えだった。
 私が、「天井川だった所も、今は解消しているのに」と言うと、「1/100確率の雨(浅川上流域だけに降る集中豪雨)の際の、水量を流すだけの断面が浅川にないから、ダムが必要」とのこと。

 結論は、ダム(または河道内遊水池)は、何度も起きた下流域の内水災害にはほとんど関係なく、いままで起きたことがない浅川上流域に限った集中豪雨による災害を、想定してつくるものであるということだった。
 これにかける費用は、400億円以上、すでに付け替え道路で200億円使っているとはいえ、あと200億円以上。このような莫大な費用をかけて、上流域の住民を危険にさらすダムの、費用対効果とは如何に?!
 ダムサイトから市街地まで1km、市街地の上部には浅川小学校がある。もし、地滑りが起き、イタリアのバイオントダムのようにダムを水が飛び越え大津波となって下流域を襲い、大惨事が起きたら?!(下記クリック)
 学習会会場では、浅川小に子どもが通うお母さんから、「土石流が発生したら、どのくらいで浅川小まで達するのか、逃げる時間はあるのか?」と質問が出た。ダム計画の問題点を話した内山さんが「恐らく、10分以内で達する」と答えた。
 このような不安に対して、「ダムも選択肢の一つ」と言う村井知事や鷲沢市長、認可をおろす国は「地滑り警報装置をつけるから、大丈夫」だなどと、説明するのだろうか??

 そもそも、こんなリスクを背負って、現実問題の内水災害には殆ど無関係のダムをつくる必要があるのか?このリスクをマイナスの効果に計算するなら、ダム(河道内遊水池)の費用対効果は、マイナスと考えて良いはずだ。浅川ダムは無駄な公共事業ではないか?
 土木部職員の話では、内水災害への対策(排水ポンプ、遊水池、輪中堤)には、まだ国から補助が出るのか、わからないとのこと。
 それならば、内水災害対策と砥川方式の(当面1/50程度の安全度を目指す河川改修による)治水対策に、国から援助してもらう方が、上中下流域全ての住民にとっての得策であり、住民の安全を守るリーダーは、それを流域住民に説明し理解を求めるべきだ。

 また、先月土木委員会で訪れた奈良盆地の大和川流域は、昔は湖であった上、川の出口が大阪府との境『亀の背狭窄部』しかないため、大変、水の貯まりやすい場所である。しかもダム計画はあっても小規模なものしか造れず、ダムでは目標流量全体(2100t/s)の4.3%の90t/sしかカバーできない。そこで、力を入れているのが河川改修と、流域対策(全体の14.8%、310t/sをカバー)で、市街地の広がる流域のため、特に雨水貯留に涙ぐましい努力をしている。
 たとえば、ため池の改良では、奈良公園の中にある昔からのため池『荒池』を伝統的な景観を損なわないよう改修したり、お城の堀を改修して雨水貯留施設にしたり、ため池を保全したり、宅地造成時には必ず防災調整池をつけたり、浸透性舗装にしたり、県立高校や市町村立小中学校の校庭・グラウンドなど127の公共施設は、全て雨水貯留浸透施設になっている。例えば、校庭・グラウンドは高さ20〜30cmのコンクリートの壁で覆っただけで、費用もさほどかからないが、国からちゃんと補助も貰っている。
 浅川流域も実は上流よりも、市街地からの雨水の流入が下流に与える影響のほうが、はるかに心配である。大和川流域のような塵も積もれば山となるような努力を、本当はすべきなのだ。
 それをダムさえ造れば(内水)災害は防げると説明して来た吉村時代の県の責任は大きい。また、本当に必要なことを伝えようとしない長野市の責任、千曲川や信濃川の根本的な治水対策を怠っている国の責任も大きい。
 これらに蓋をして、住民を危険にさらす可能性のあるダム(河道内遊水池)を造ることは、到底、許されないことだ
バイオントダムと地滑り災害


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