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2006 年 12 月 24 日     カテゴリ:活動報告
どうしても浅川ダムは効果があると言いたい土木部の、その心は?
〜さわやか早苗日記426〜
 (前回の続き)浅川ダム又は河道内遊水池は、『無駄な公共事業の典型』、しかし、コンクリートの好きな人たちにそそのかされ、新幹線のためにダムを造る。
 そこで、造るための口実を、県はあれやこれやと探し、取り繕う。その典型的な例がある。

 6月に県土木部から土木委員会に、S58年内水災害時の浅川ダム影響検証資料が出された。この時、千曲川の水位は HWL(計画高水位)を超え、水門閉鎖、排水ポンプも停止し、浅川下流域は観測史上最大の内水災害にみまわれた。
 前河川課長は「千曲川の流量が少ない時に、浅川の流量のピークを早く千曲川に流してしまう方が良い。それをダムでもって一端とめ、とめきりにしておけば良いが、ダムの下の穴から遅れて出て行くから、千曲川の水位が上がり始めてから流れていくことになる」
「ダムで抱え込むとことが千曲川の水位と比較した場合に、逆効果の場合がある。効果のある場合もあるが、それは浅川流域の雨の振り方が遅くて、千曲川本川の水が意外と早く出て来たという場合だ。しかし、一般的に言って、浅川みたいに小さい流域と、千曲川みたいにうんと大きな流域と比べると、小さい流域の方がはるかにピークは早く抜ける。千曲川の水位が上がりきらないうちに、早く出しておいた方が得策だ」と、説明した。
 私もその通りだと理解していた。

 ところが、12月県議会前、上記検証資料について、河川課職員は、「これは、ダムの効果を示している」と説明した。
 「では、効果はどのくらいか?」と聞くと、「溢れた水の水位を、数mm低減する」と言う。このことは、12/5の日記に書いた。ーー>『内水災害に浅川ダムが及ぼす効果は、現状のポンプ能力では5.6mm・・・』

 土木部の資料による職員の説明には、一見、誤りはないように思えたが、しかし、私は以前、ダムは逆効果であると聞いた事があったので、知り合いに、国土問題研究所が以前行ったS58年水害時のシュミレーション資料を貰った。
 すると、土木部と国土研の検証図には、決定的な違いがあった。浅川と千曲川の水門が閉まる時間が、前者は14時、後者は19時10分になっている。どっちが本当か?国土交通省千曲川河川事務所に問い合わせた。閉鎖記録はS58年9月28日19時10分であり、国土研のほうが正しいことが分かった。

 私は先週の土木委員会で「樋(水)門が閉まった時間が違っているが、なぜ間違ったものを提出したのか」「ダムの内水災害への影響は、樋門が閉まる時間によって、大いに左右される。正しい樋門閉鎖時間19時10分からすると、ダムで水をとめずに、樋門閉鎖前にどんどん水を出してしまった方が良く、ダムは内水災害に効果がないと言えるはずだ」と質問した。
 すると、新しくなったばかりの河川課長は「樋門を閉める操作規則に『浅川のHWL(計画高水位)330mを10cm超えたら締める』とあり、その規則に沿って土木部がシュミレーションした結果は14時頃になる」と説明した。私が、「実際に締めた時間は19時10分だ」と言うと、「規則通りに締めなかったことが問題だ」と言う。
 
 しかしシュミレーションが、実際に締めた時間と5時間も違うのはおかしいと思い、土木部の資料を見てみると19時10分の千曲川の水位は332.5mもあり、浅川のHWL330mをはるかに超え、どんどん逆流が起きていることになる、変だ。国土研の資料と見比べてみると、土木部のは千曲川の水位が1m以上全体的に高くなっているとわかった。
 そこで土木委員会で、「この土木部資料の千曲川水位のデータを資料請求したい」と言うと、「千曲川の水位データは国にある」と言う。「県の資料の根拠になっているデータなのだから、県にあるはず」と言ったが、他の議員から「個人的に貰え」と言われ、資料請求は蹴られてしまった。

 次の日の朝、私の所に河川課職員が持って来た根拠データは、浅川合流点が千曲川立ケ花水位観測所から2km上流にあるため、水位差を現在の実測データを基にして検討し、その差を1.23mとして、S58年災害時の立ケ花水位値から合流点の水位を計算して用いたとある。
 私は、そんなに水位差があるの?と、これまた疑問に思い、千曲川河川事務所などに問い合わせた所、水位差は零点高(水位の基準点)として決められており、立ケ花324.2mと浅川合流点324.5mで、その差は30cmであることがわかった。
 つまり、土木部の言う「その差1.23m」では、93cmも下駄を履かせたことになり、千曲川の水位が実際より早く浅川のHWLに達することになる。だから操作規則からシュミレーションすれば、実際に水門を閉めた時間より5時間も早い、14時になる。
 これで「浅川上流のピーク水量を、水門閉鎖前に千曲川に出してしまえば良いのに、ダムがあれば逆効果になる」という国土研などの主張を、土木部はひっくり返せる。つまり、千曲川の水位が実際より早く上がったことにすれば、早く水門が閉まり、ダムのピークカット効果があるという説明が成り立つわけだ。
 私の「仮に効果があったとしても、わずか5.6mmでは、大して効果はなく、大金を投じる意味がない」という主張に、河川課長は、「5.6mmでも、床下か床上かの瀬戸際では効果がある」とのたもうた。その上「水位30cmの差というのは、千曲川河川事務所がおかしい、それは協議しないといけない」だって!
 あとで確かめたら、合流点の実測値といい、1.23mの差といい、土木部はコンサルから出て来た数字から推測したに過ぎないこともわかった。

 立ケ花の水位に零点高の差30cmを加えた浅川合流点の水位でシュミレーションすれば、「浅川HWL+10cmの時に締める操作規則」に沿った樋門閉鎖時間は、16〜15時の間となり、これでもダムは逆効果となる。
 実際には、浅川の堤防には余裕高があり、千曲川からの逆流が始まるギリギリまで水門は閉めないだろうし、千曲川は立ケ花で急に狭くなるため押し寄せた水で水位が上がり、2kmの距離があっても立ケ花と合流点の水位は殆ど変わらないと予想できる。
 だから、実際には19時過に締めたのだろう。

 いずれにしても、内水災害がひどかったS58年災害時に、実際に樋門を締めた時間、19時過ではダムは逆効果、水位差30cm・樋門閉鎖16〜15時とシュミレーションしても逆効果、土木部の水位差1.23m・樋門閉鎖14時でシュミレーションしたとしても、僅か数mmの効果に過ぎないということ。
 河道内遊水池は熟知していないという新河川課長が開き直っても、田中県政時にダムに未練がある職員が『効果有り』のシュミレーションを作ったとしても、浅川にダムはムダ。
 ムダな穴あきダムにあと200億円もかけるのか?それとも、今本・京大名誉教授の言う、たとえ水害になっても被害を最小限に食い止める『水害に強いまちづくり』の観点から、「下流は内水被害への対策、上・中流は想定外の超過洪水への対策」に費用をかけるのか?
 私なら、後者を選ぶ。

 ダムを造れば、おそらく、200億円もかけてダムを造ってやったんだ、あとの対策は我慢しなさいということになる。いままでの河川行政がそうだったからだ。


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