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2007 年 8 月 24 日     カテゴリ:活動報告
問題の焼却炉の再開。新条例案で、住民の健康は守られるのか?
〜さわやか早苗日記452〜
 下諏訪町の和田峠に向かう谷間は、いわゆる産廃銀座、多くの産業廃棄物処理施設の焼却炉などがある(2004、8/23日記参照)。
 その一つ、R社の焼却炉は、煙から環境基準値を越えるダイオキシンが検出された。昨年秋に改善して燃焼を再開したところ、再びダイオキシンが検出されたため、改善のためにに取り付けた装置が原因と考えられるとし、それを外して炉を再開したと、新聞記事で読み、調査に出かけた。(写真上)
 R社の炉は以前から煙をモクモクとはき、すぐ近くの住宅団地の住民たちの不安の声が上がっていたが、田中県政時の2005年にやっと県はこの炉に停止・改善命令を出し(2005年11/2日記参照)、業者(R社)側がこの命令に従って改善をしたもの。
 R社や県の説明によると、改善は、
1、炉内全体の温度を均一にして燃えを良くするために、耐熱遮蔽版を取り付ける。
2、排気前のガスから、臭いやダイオキシンのもとの塩分を除去する装置(サイクロン)を取り付ける。
3、煙突から排気前に水を吹きかけ、温度を下げ、煤塵(ばいじん)を落としていたが、シャワー下部にネットバブラー(大きな網)を設置し、水と煙の接触率を高める。
の三点を行なったという。
 
 ところが、このような改善を行ったにもかかわらず、煙から基準値以上のダイオキシンが排出され、原因を調べたところ、2の塩分除去装置のサイクロン内で(写真下左)、排気ガスの温度が下がり、ダイオキシンが再合成されてしまった(600℃以上が必要と言われる)とのこと。
 そこでR社は、この装置を取り外し、さらにゴミの投入の仕方など燃やし方の改善をすることで、ダイオキシン濃度は基準値の半分以下になったとして、県は炉の燃焼再開を認めた。また、住民(対策委員会)にも説明をし焼却業務記録の情報開示を行なう、建築廃材や廃プラなどの受け入れゴミや焼却灰の管理もしっかり行なう、排気前に噴霧する循環水の入れ替えも頻繁に行なう(塩や煤塵が含まれる)、ということも、R社は約束をした。
 R社は、地元から「(炉の停止以前から野積みされている)ゴミを早く処分してくれ」という要望があるため、炉を再開させたいと努力したとのことで、県も同じようだった。

 しかし、私はいくつかの疑問が残り、質問をした。
・改善するといって付けた遮蔽板の効果はあったのか?
(答え)遮蔽板は金属のため既に壊れて落ちたりしている。(効果はなかったということ?)
・もともと、2次燃焼炉が短く、炉そのものの構造に無理があるのではないか?
(答え)炉そのものの改善をすると、(住民同意が必要な)県の許可が必要なため、軽微な改善にした。
・煙のガスの中に含まれる有害物質は、ダイオキシンだけではないはずだが、その濃度はクリアしているのか?
(答え)汚泥の中に含まれている重金属は、管理型処分場に委託しきちんと処分している。
・灰ではなく、排ガスの中に含まれる重金属は?
(答え)排気の中に含まれるものは、煤塵、塩化水素、窒素酸化物、硫黄酸化物などで、これらは全て基準をクリアしている。
・煤塵の中に、重金属が含まれるのか?煤塵の成分は?
(答え)煤塵が紫煙のもとである。これは完全に除去できるものではなく、紫煙は出るものである。しかし、煤塵としての環境基準値はクリアしている。
 上の写真の、煙突から白く出ているのは水蒸気だが、それが消えたところあたりに煙が見える。「あれが紫煙ですよ」と県職員が説明した。以前、ゴミ問題の専門家とこの炉を見た時に「水蒸気が消えた辺りの煙の色を見ていると、黄色など色みがついていたりするが、これは金属のガスの色」と説明されたことを思い出した。
 だとしたら、いったい、環境基準とは何なのか?ダイオキシンだけが身体に有害な物質ではないはずだ。
 灰の中には大量の金属が混じっていて(写真下)、R社は「建築解体廃材を燃やしているため」と説明していた。R社は建設業も営んでおり、おそらくミンチ解体(建物を分別せずに一気に壊して処理する)して来たものを、燃やして量を減らし処分しているのだろう。他の業者からも「炉を早く再開して欲しい」と言われているそうで、他の建設会社のものも受け入れているということだ。
 
 R社の調査後、原村に行き再当選した清水澄村長にお祝いの挨拶に伺ったあと、再び午後4時すぎに下諏訪に戻り、R社の道路を挟んで上にある住宅団地に行き、住民の方の話をうかがった。R社の炉は煙突が低いため、住宅団地は煙がもろに来る。紫煙がよく見え、臭いもして来た。
 住民の方の話では、「多くの住民の方が『こんな煙の中で暮らすのは嫌だ』と声を上げない、むしろ『早く燃やしてくれ』と言う。対策委員会でも大方の委員がそうである。建設業との利害関係があると思えてならない」とのこと。また、「田中県政から村井県政になり、県の態度も変わり、例えば、R社や県も口を揃えて『紫煙は出るもの』と開き直っている」「新たな廃プラは受け入れないと言いながら、受け入れている、県も承知」とも、話していた。

 話している間に、私自身も喉の奥が詰まるような感じがして、咳が出てきたた。煙によって空気が汚れていせい?5時すぎると少し治まった気がしたが、炉が止まったのだろうか。
 検査の結果、いくら環境基準をクリアしているからと言っても、平らな土地にある高い煙突を持つ焼却炉で、排気が上空で拡散する場合と、R社のように煙突が低く、しかも谷間の地形で拡散せずに有害なガスがずっととどまってしまうような場合とでは、明らかに周辺住民の健康に対するリスクは違うはずだ。
 R社は「風向きに気をつけて炊いている」、県の職員は「住宅団地で、県の大気測定車あおぞら号を置き、時々観測する」と言っていたが、谷地形でしかも下には大きな諏訪湖があり、1日の内で必ず風向きが変わる場所であったり、あおぞら号とて、測定していることがわかるためR社が炉の炊き方を慎重にする可能性もある。
 声を上げた住民が少数だからと言って、このようなことがまかり通る廃棄物行政はやはり、おかしい。住民もあきらめずに声を上げ続け、運動を広めていく必要があるが、これらの声を受け止めていく仕組みが必要だ。
 その意味では、田中県政時に策定しようとして県議会の反対でかなわなかった廃棄物条例案の中には、『環境モニタリング制度』や『県民環境協議会』という行政権限発動請求権があった。これは、県民から構成された第3者機関が、住民の訴えに基づいて廃棄物処理施設周辺の環境やチェックを行なうために、専門家による調査を行うよう県に請求できるもの。これは県廃棄物行政へのチェックにも繋がる。
 それをそっくりカットした条例骨子案を村井県政は示して来た。
 あおぞらでは、9月15日(土)に『村井県政のめざす廃棄物条例の問題点について』という学習会を開く。多くの県民の皆さんの参加をお待ちしています。
 ダムと言い、廃棄物問題と言い、諦めてはいけない。健康や安全などの基本的人権を守るのは住民の力だ。
『廃棄物条例の問題点について』学習会


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