2007 年
9 月
1 日
カテゴリ:活動報告
『脱ダム宣言』の意味、ムダなダムではなく維持管理にこそ補助を
〜さわやか早苗日記453〜
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村井県政になって、ちょうど1年が経った。 先日、国が治水専用ダムを含む浅川河川整備計画を認可した。申請から1ヵ月ちょっとのスピード認可である。浅川で一番困っている内水被害には効果のないダムで、土木部がダムの効果に挙げている外水被害についても、過去には氾濫被害の記録はなく、護岸が削れた程度。こんなムダなダムを、長野市に百億円以上もかけて造るわけだが、同じく人口密集地帯を抱える松本市の状況はどうなのだろう。 7月17日の活動報告に『奈良井川改良期成同盟会に出席。松本の田川は、河床に土砂が2、3mも積もり、内水氾濫を繰り返しています。しかし、浚渫、河原のニセアカシアなどの伐採などを含む河川維持管理費用は、奈良井川水系でたったの5000万円だけ。奈良井川河川事務所は「お金がなくて,,,」と。効果の僅かな浅川ダムに何百億もかけ、必要な河川事業は出来ないという、マカ不思議な河川行政。』と書いた。 もう少し詳しく知るために、8月24日に松本市内を流れる(奈良井川水系の)奈良井川、女鳥羽川、薄川、田川を視察した。
奈良井川水系には9河川とその支川などがあり、河川延長は148.6kmに及ぶ。松本市街地など人口の多いところを流れるが、かつては牛伏川など荒れ川が多く、昭和16年から河川改修が行なわれて来た。昭和24、34、36、58年、平成16、18年には、台風や梅雨前線で県内でも水害が多く発生した年だったが、奈良井川水系も水害に見舞われ、松本市街地は度々水浸しになった。 最近でも、平成16年秋の台風の際には、田川で7カ所の内水氾濫が起きた。これは、長年に渡り田川の河床に土砂が堆積しているためで、田川に流れ込む支川と河床が同じ高さのため、逆流がおきすぐに内水氾濫を起こしてしまう。河床が上がって天井川になっているところも多い。河床を掘り下げないといけないということで、田中前県政になり初めて手が付けられ、50cmほど河床が掘り下げられた。(写真上・・・コンクリート護岸の一番下、白っぽくなっているところが掘り下げたところ) しかし、あまり掘ってしまうと、橋桁の基盤が出てしまい、橋が壊れてしまう。あと2mは掘り下げる必要があるが、それには橋の架け替えが必要というわけだ。田川に限らず、松本市街地を流れる大きな河川はどこも同じ状況で、毎年少しずつ架け替えて来ているものの、架け替える必要のある橋は、未だ全部で19本あると言う(田川14、薄川2、女鳥羽川1、奈良井川2)。
改修は下流から行なう必要があるが、下流の橋を架け替えたからと言って、そこだけを沢山掘ってしまうと上流の土砂が引っぱられて、架け替えてない橋の橋脚が危なくなる。つまり、全部の橋が架け変わらないと、本格的な河床の掘り下げは行なえない。 いっぺんに橋を架け替えられない理由は、増水のない冬期しか工事が出来ないこと、工事には交通止めが必要なことがあるが、1本の架け替えに2〜3億円もかかるため、予算がとれないこともある。一番大変なのは、JRや松本電鉄の鉄橋で、電車は道路とちがい、交通止めにして他の橋を迂回してというかけにはいかないから、住宅密集地での線路の用地取得も必要となり、容易なことではない(写真下左、JRの鉄橋を架け替えないと、田川はこれ以上掘り下げられない)。 全部の橋の架け替えが終るのは、まだまだ先になりそうだ。その間、氾濫を防ぐには、水の流れる空間を出来るだけ確保する必要があるため、こまめな浚渫や河川内のニセアカシアなどの伐採が必要だ。しかし、河川環境の保持や浚渫などの通常の維持管理には国からの補助はなく、県単独予算となる。 田中前知事の『脱ダム宣言』は、単にダムを出来うる限り造らないということではなく、ダム建設など大型公共事業にばかりに有利な『補助金のあり方』を変えるべき!というものだった。河川の、普段の維持管理にこそ国は支援すべきなのに、奈良井川水系の視察を案内してくれた県職員の話によると、予算は増えるどころか、地方交付税の算出基準で河川の維持管理費は年々押さえられて来ていて、来年度は更に減る見込みとのこと。 加えて、村井県政になり、浅川ダムなど大型公共事業費の県負担分が増え、一般会計からの持ち出しが増えれば、奈良井川水系の維持管理予算は、益々少なくなりそうだ。やれやれ。
村井知事は昨日の記者会見で、記者から『脱ダム宣言』について質問され、「堆砂や魚の遡上など環境面では『脱ダム』もそのとおりと思う」とか言っているが、「だから、(その欠陥を補うものなので)河道内遊水池を、私は採った」と言っている。質問した記者も、補助金や河川の維持管理など税金の使い方の問題には踏み込まないから、質問はそれまで。 だいたい、国の補助制度のあり方の問題点などに、真剣に取り組み、『脱ダム宣言』の本当の意味を県民に伝えるようなマスコミも、殆どいない。 昨年、私は、池田町の高瀬川の堤防が、根元の辺りまでえぐられていても放ってあるのはなぜか?と不思議に思い、建設事務所職員に聞くと、「堤防が切れるか切れそうにならないと、国の災害認定が受けられないから」と言うので、一体国の河川行政はどうなっているのか知りたくて、関東地方整備局に行った。 国交省の河川課でも、堤防の維持管理などを扱う課の課長は、「国の管理する河川でも、維持管理の費用は全くと言ってよいほど、ない」と嘆いていた。そして、「河川の維持管理予算を増やすよう、地方から声を上げて欲しい」と、逆要望されてしまった。 ところが、地方の方はどうかと言うと、例えば7月17日の『奈良井川改良期成同盟会』でも、市町村も議員も「河川改修をしてくれ、維持管理をしてくれ」と要望するばかりで、県職員から「予算が少なくてなかなか出来ません、緊急性を考えて少しずつやって行くしかありません」と言われて、終り。市町村から「国へ維持管理の予算を増やすように言ってくれ」という要望は、無し。 そこで、今回(8/24)の調査には、松本市議会・経済建設委員の吉江健太朗市議にも、同行してもらった。
奈良井川の河川敷では、4,5ヶ月前に刈ったばかりというに、ニセアカシアがもう人の背丈より高く生い茂っていた(写真下右)。行政の財政が厳しいということで、県内のどこの河川でも、河川愛護会などボランティア団体に協力を求め、ニセアカシアなどの伐採やアレチウリの駆除を行なってもらっているようだが、これでは、ボランティアだけでは、とっても間に合わない。 案内してくれた職員も「こまめに浚渫や木の伐採などをやっていれば、災害はおきない」と言っていた。頭を悩ませながら少ない予算をやり繰りしている現場職員が言うのだから間違いない。 『脱ダム宣言』本来の趣旨である、「国の補助金のあり方を変えよ」「河川の維持管理にこそ、国は補助をすべき」と、市町村が声を上げないといけない。コンクリートがたくさん使いたいW市長に付き合って、内水災害に効果のないムダなダムなんて造っている余裕は、本当はないのだ。
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