2008 年
1 月
29 日
カテゴリ:活動報告
松本城周辺建物の高さ規定は、お城と同じ高さ29、4mで良い?
〜さわやか早苗日記470〜
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松本城の南側に松本城の天守閣と同じ29、4mのマンションが建設されようとしている。26日に、松本中央公民館(Mウィング)で、まつもと市民環境大学のみなさんが主催して、景観シンポジウムが行われた。 松本市は景観条例を改正して、一定の高さ制限を設けることで対応しようとしている。市は条例改正と景観計画の策定にあたり、市民アンケートを実施したり、『景観基本計画策定市民会議』に諮問したりして、案を策定し、昨年10月に市の広報に高さ制限案などを発表した。その後、住民説明会を開催し、パブリックコメントを募集してきた。 ここで問題になったのが、松本城周辺の規制を29、4mにとしていることだ。この辺りは、かつて三の丸と呼ばれ、上級武士が住まい、惣堀なきあとも松本城の「城内」として、長く意識されてきた土地だからだ。そこで、歴史・文化を生かした町並みをもつ松本市として、どのような景観条例が必要なのかを考えてみたいと、シンポジウムが開かれた。
シンポジウムでは、まず『景観基本計画策定市民会議』委員長の、土本俊和・信州大学工学部教授の基調講演「近景と遠景の統合〜天守閣とアルプスを生かした景観創出を目指して」があった。土本教授は、「景観の創造を、全ての領域ではなく、一部の領域に設定する」「日本人が古来から持っている精神的な想像力による景観の創造をめざす」「一足飛びではなく、段階的な景観の創造を徐々に確実に進める」と提案した。 次に、「お城地区の高さ制限29、4mをめぐって」と題してパネルディスカッションが行われた。お城を持つ彦根市、犬山市、姫路市の職員がパネリストとして参加して、城周辺の建築物に高さや色など各種の制限を設るなどの取り組みを報告した。 また、パネリストとして参加した、現在マンション計画がある松本城周辺の南土井尻町会の遠藤伝町会長が「29、4mの高さ規制を、市が一方的に決めた。撤回してほしい」と言った。以前(平成11年)に、お城から60mの所に31、5mのマンション計画が持ち上がったときに、反対運動が起き、市が用地を購入したことで決着した。更に平成13年には、城の周辺32、6haに高度地区の都市計画決定を行った。その内容は、城の中の眺望点から見た角度による4つの区域に15m、16m、18m、20mの高さ制限を行ったもので、今回のマンション計画は、この高さ規制を行った区域の外側、南側に隣接した区域にある。 遠藤町会長は「市の29、4m案は、(お城のすぐ南側地区の高さ規制)16mを生かしていない。住民は18mにとしたいと合意をつくりつつあったのに、いきなり市が29、4mと広報に発表したのは、納得できない。苦労してやってきたのに」「条例による規制では、建築基準法による建設を止めることはできず、都市計画法による高度規制が必要だ」と話した。 実は、16mの高さ規制がかかってる南側が遠藤町会長の町会の区域で、そのまた南側の地区は地域合意で25mの高さ規制が設けられている。つまり、遠藤会長の区は、16と25の間なので18mを目指してきた訳だ。 25mの高さ規定を決めた飯田町一丁目に暮らす中央高砂通り周辺地区まちづくり推進協議会会長の早田覚弥氏がパネリストとして参加し、25mを決めたいきさつを話した。惣堀の外側のこの辺りは、庶民の街だったが、今では高齢化が進み、高層の建物などが建てられつつある。その際に、損益の折り合いがつく所が8階建て、つまり3mx8階=24mということで、25mまでの高さ規制にすることで、住民合意が計られた。 早田氏は「25mで苦情はない。29、4mはおかしい。昔、商売をやっていた駅前の地域は、今では貸しビルを造り不動産業になってしまった。そのため、昔のような地域のコミュニティはなくなってしまっている」とも、話された。
ディスカッションの中で、犬山市の職員から「高さだけを問題にするのではなく、地域の人たちが、自分たちの街をどういう街にしたいのかというビジョンから考える必要がある。犬山市では、『犬山祭りが生える街はどうか?』と考え、高い建物や道路拡張はダメということになった」という意見がだされた。これには、早田氏が「平成14年の住民アンケート結果では、『歩いてみたい水と文化の街』という文教地区のイメージが選ばれた。」と答え、遠藤町会長は「私たちの地区は、都市計画の用途指定では、商業地域になっているが、これは、大まかで古い時代のものだ。今は、高齢化率が進み老人の住む住居地域になっている。お年寄りたちは、『自分たちが生きている今のうちに、早いとこ高さ規定をかけないと、代が替わってからでは手遅れになる』と考えている」と話した。 また、会場からも「松本城やその周辺は、我々のアイデンティティとして、街づくりで大切にしていきたい。今、高層の建物が建ってしまうと、エンドレスになってしまう。幸い、現在の規制より高い建物も22〜23年経っていて、それ以降に新たな建物は建っていない。だから、今の時点できちんとした議論が必要だ」「住民は力はないが、女鳥羽も含めた城下町を創りたいと大きなスケールのロマンを持っている」という意見があった。 更に、「なぜ、『景観基本計画策定市民会議』では29、4mという案を打ち出したのか?」と言う質問が出され、委員長の土本教授は「高層マンションを計画している業者と、市長と市が交渉して、落としどころとして天守閣と同じ高さの29、4m以下なら良いという数値を決めた。それと我々の市民会議が平行して動いていたため、また、低く設定すると、現行不適格の建物(高さオーバーの既存建物)がたくさん出てきてしまうため、市からの提案もあり、29、4mということにした。先ほど(講演で)話したように、段階的な景観の創造を徐々に確実に進めるということで、住民の合意ができれば、もっと低くしていけば良い」と答えた。
しかし、策定市民会議や市の提案通り29、4mにした場合、その基準で新たな建物がどんどんできてしまうと、それより低い規制はいっそうかけにくくなるのが現実ではないだろうか?今問題になっている高層マンションを建てようとしている業者は、諏訪地域などでも、空いている土地に地元の反対を押し切って高層マンションを次々建てている県外業者だ。住民との合意なしに、マンション業者と交渉して29、4mを決めてしまい、それを根拠に高さの条例を設置しようとする市のやり方に、問題はないのか? 世界遺産に松本城をと願うなら、菅谷市長が掲げる外堀復元や道路拡幅で、果たして叶えられるのか?姫路城などと違って平城の松本城は、周囲の公園の面積を増やしたり、城下町としての街づくりと一体となった景観創造が必要ではないか? 会場からも「旧三の丸地区は商業地区ではなく、城下町としてのブランドを高めるべき。高い建物に囲まれると人は住みにくくなる。人の居なくなった城下町は意味がない」という意見がだされ、司会の野見山哲生・信州大学医学部教授も「人や文化の町並みを後世に残していくために、まだまだ議論が必要」と、シンポジウムをまとめた。 なお、会場には、3月の松本市長選に立候補すると表明した市川博美さんも来ていて、話を聴いていた。
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