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2008 年 2 月 15 日     カテゴリ:活動報告
BSE全頭検査の継続判断を県や国民に押し付け?国は責任逃れ
〜さわやか早苗日記471〜
 9日に松本合庁講堂で「日本におけるBSE国内対策に関する意見交換会」が県と長野市の主催で開催され、聴きに行って来た。
 日本では2001年10月18日からと畜場で解体される牛の(BSE)「全頭検査」を行って来たが、2005年8月1日からは「21ヶ月齢以上の牛について検査」を行うことになった。ただし、制度変更に伴う消費者の不安の払拭と、生産・流通現場における混乱を回避するための経過措置として、「20ヶ月齢以下の牛について、地方自治体が検査を行う場合は、最長3年間は引き続き国庫補助を行う」とした。その3年の期限が今年7月31日にやってくるので、意見交換会の開催を行ったというわけだ。
 長野県としては08年8月以降も全頭検査を行うか否かは、その分の検査費用を予算に盛るか盛らないかということになり、当然県議会での話題になるので、責任重大?!どのような意見が出されるのかを聞かなくてはと、足を運んだ。

 意見交換会では、まず、国の「食品安全委員会プリオン専門調査会」の吉川泰弘委員が「日本におけるBSE国内対策に係るリスク評価」について講演し、「20ヶ月齢以下では感染牛20頭中19頭は プリオンを検出できないが、SRM(異常プリオンが蓄積している特定部位)除去を徹底することで、感性リスクがなくなる」「48ヶ月以上ではほぼ100%検出できるが、プリオンが蓄積した抹消神経を除くことは困難であり、高齢牛に関してはBSE検査が有効である」と話した。
 また、「ピッシング(牛をピストルで頭を撃ち失神させても、反射神経作用で足が動き作業に危険なため、せき髄をワイヤーで破壊すること)により、検出できない感染牛の神経を血液に乗せることになるため、若齢牛の場合はピッシングを行わないようにする必要があり、検査費はピッシング廃止費用に転じた方が有効」と話された。
 「若齢牛の感染率はBSE対策後に急速に減少するが、リスクはゼロにはならないため、BSEのように潜伏期間が長く不確実性の高い感染症の管理対応は難しい」「このような場合、だれかがやめないと若齢牛の検査は永遠に続くことになる」と結論づけた。

 次に、「日本におけるBSEに関する管理措置について」農水省と厚生省の役人が講演した。
 それによると、日本では2002年6月に制定されたBSE対策特別措置法により、牛の肉骨粉等の飼料原料の規制や、死亡牛の届出とBSE検査、と畜場におけるBSE検査、牛トレーサビリティ(個体識別情報の提供による牛肉の生産過程の透明性の確保)制度を徹底して行った結果、BSE検査で陽性が確認された牛34頭中、その出生年月日は2002年以前であることが確認できている。
 つまり、国からの検査費用補助の経過措置が終わる今年(2008年)7月31日時点で、20ヶ月齢以下の牛は2006年11月2日以降に生まれた牛であり、BSEに感染している確率は極めて低いということだ。
 また、牛を解体する際の背割り前の脊髄除去や、背割りの際の脊髄片の飛散防止の徹底、ピッシングの中止により、万が一20ヶ月齢以下の牛が感染していたとしていても、牛肉にプリオンが混じることはないということ。

 最後に長野県から農政部畜産課職員と松本食肉衛生検査所所長が「長野県におけるBSE対策に係る報告」をした。
 長野県では牛の飼料対策指導の徹底や、農場等での生体検査(BSE検査は死んだ牛にしかできないため、生きた牛の検査は異常行動等を見る)、死亡牛の届出とBSE検査、と畜場におけるBSE検査と特定部位の除去などプリオン飛散防止の徹底、牛肉のトレーサビリティイシステムなどを確実に行っているとのことだった。また、県内ではBSE陽性の牛は発見されていないし、また県下に4カ所のと畜場ではピッシングは行っていないとのことだ。

 説明を聞いた限り、理論的には20ヶ月齢以下の牛のBSE検査をしなくても、安全性にはかわりないような気がした。しかい、それで安心かと言うと、話は別かなと思った。
 会場には150人程が来ていて、消費者の会の方などが意見を述べた。「今日の学習で、科学的に物事を考えるようにしたいと思った」「全頭検査は基本的には年齢を問わず続けて欲しい」という意見で、やはり、安全について理屈ではわかっても、安心はできないという人が多いのかな、と思った。
 質問も出された。
(質問)「20ヶ月齢以下で検査していないという表示は牛肉にされるのか?」
(農水省の役人の答え)「表示とは、科学的知見で安全性を担保されているものに対して行うものなので、検査していないという表示義務はかせられない」
(質問)「予算的には?」
(答え)「国全体でのBSE検査にかかる年間費用は16億円であり、この内20ヶ月齢以下の牛は13?14%なので2億円ぐらい。ただし、検査キット代は年々安くなって来ている」
(質問)「県の20ヶ月齢以下の牛の検査費用は?」
(県の答え)「18年度はキット費用が120万円、ただし他にも、人件費や他の試薬代がかかる」「松本食肉衛生検査所の職員に聞いてみたら、松本では20ヶ月齢以下の牛は年間5頭ぐらいが持ち込まれるだけなので、それを除く方がかえって手間が増えるかな、、、という意見だった。安全の月齢は年々上がってくるので、将来もし30ヶ月齢以下の牛を検査する必要がないということになると、6割の牛の検査が必要でなくなり、そうなると経費がかなり浮いてくる」
(質問)「20ヶ月齢と、21ヶ月齢の違いはどう考えたら良いのか?分かれ目は何なのか?」
(プリオン専門調査会吉川委員の答え)「安全であるという月齢は変動して行くものであり、どこかで線を引く必要があった。検査基準の見直しを検討していた頃に、21ヶ月と23ヶ月齢でBSE牛が見つかったので、20ヶ月齢とした」

 最後の質問の答えを聞いていたら、せっかく論理的に理解しようとしていたのに、ちょっとお、、、という気がしてきた。じゃあ、21ヶ月と23ヶ月齢でBSE牛が見つかっていなかったら、基準は一体何ヶ月齢になっていたわけ??
 また、未検査という表示義務がないとしても、例えば長野県が数百万円の検査費用を削るために20ヶ月齢以下の牛の検査をやめたとして、やめない他県がうちの県の牛肉は「全頭検査してます!」シールを貼ったら、消費者としては、スーパーでどっちにしようかなあという時に、シールの貼ってある方を買うのではないだろうか。
 吉川委員は、「科学者は評価の責任を負い、行政は説明責任を負い、消費者は選択した責任を負う」とも言っていたけれど、BSE陽性の牛が出なくなってから何年も経っているわけではないのに、国から20ヶ月齢以下の牛の検査費用を打ち切られ、「検査やめるかどうするかは地方で決めなさいよ、あとは商品を選んだ消費者の責任ですね?」と、一方的に言われているような気がした。しかも予算審議する県議会が判断するってこと?
 10年くらいはBSE牛が出なくなるまで、国の補助金を出して全頭検査を行い、その間に安全性についての論理的な説明を国民に丁寧に行うことが必要ではないだろうか?意見交換会を各県でやったからと言って、国の説明責任が果たされたとは到底言い難い。


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