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2008 年 3 月 25 日     カテゴリ:活動報告
後退、絵に描いた餅に?長野県地球温暖化防止県民計画の改訂
〜さわやか早苗日記478〜
 3月20日に、須坂市で長野ソフトエネルギー資料室が主催して、地球温暖化対策についての学習会があった。まず、県生活環境部の環境対策課課長や職員が、この2月に改訂した『長野県地球温暖化防止県民計画』について、講演した。
 長野県では、県内で排出されるCO2を、2010年度までに1990年度比で6%削減することを目標に地球温暖化防止推進計画がつくられた。しかし、県内のCO2は2004年度に14%増加してしまった。これは全国の伸び率7.6%より高い。県はこのままでは削減目標を達成できないとして、計画を改訂した。
 今回改訂した計画では、まず、目標達成年度を先送りし、2012年度までに6%削減することにした。また、これまでカウントに入れていなかった森林のCO2吸収量も加えて、削減目標を達成することとした。
 実際の数値で言うと、県内のCO2排出量は1990年度には1312万6千tであったが、これを計画では2012年に1435万tにするというもの。これでは1990年に比べて増えてしまうが、これに間伐を行い適正に管理した森林のCO2吸収量ー1457万tも加え、CO2以外の温室効果ガス(メタンなど)の削減も併せて、なんとかマイナス(ー6%)に持っていこうというものだ。

 何だかとっても苦しい削減計画という感じがする。
 会場からも、「森林はCO2を吸収するが、これは直接的な削減ではなく、化石燃料を使うことを減らさないと、実際の削減にはならない」という意見が出された。
 また、間伐で切った木を放置すると、その木が朽ちる間にCO2が放出されCO2の増加になってしまう。間伐された木が、例えば薪やペレットなどにされて化石燃料の代わりに使用され、その結果化石燃料の消費が減らない限り、実際のCO2削減にはならない。県議会でも「間伐木の搬出・化石燃料代わりの使用でCO2削減ができるはず」との質問があったが、これに県は「山奥から間伐木を運び出すには、また化石燃料を使うことになってしまう」と答えている。ということは、間伐して整備した森林を、CO2の削減カウントに入れること自体がおかしいということだ。
 また、会場からは「何ための改訂かわからない」という疑問の声も多かった。「県の地球温暖化対策の後退だ」という厳しい意見もあった。
 更に、「目標を変えることではなく、目標を達成するために何をするか考えることが、県のなすべきことではないか」「なぜCO2を出す暮らしになっているのか?それを考え対策を行うことを『長野県らしさ』として旗をあげたのに、その旗を降ろしてはいけないのではないか。目標は下げるべきではないし、森林吸収はカウントに入れないのが、国際的な考え方だ」という意見があった。
 特に、『長野県らしさ』という点では、「長野県は、小型水力、温泉熱、バイオマスなどで自然エネルギーがつくれる県だ」「倫理観に訴える対策には限界がある。そうではなく、温暖化防止のための社会のシステムやメカニズムを新たに創っていく必要がある」「国がやることだと言っていたら、進まない。国がやらないなら、県がやるぞという心意気があるべきだ」「県のリーダーシップで長野県らしい温暖化防止計画を行ってほしかった。それを、できないからと言って、消してしまうのはやめてほしかった」という意見が相次いだ。
 私もCO2の削減について、廃棄物の発生抑制と併せて、村井知事にかなり具体的な提案をしたり、提案についてどのような検討がなされたのか県議会で質問したが、いずれも「国の法の中でやっていく」「グーリーン購入制度など、今ある仕組みの中で行っていく」というものだった(下記の北山早苗一般質問をクリック)。このような県の姿勢からすると、わざわざ『地球温暖化防止県民計画』を改訂したものの、レベルを落としただけで、実行もされずに、計画は絵に描いた餅になりかねない。

 面白かったのが、県民の方からの質問で「『新宿・伊那モデル』と言う取り組みがあって、新宿区が伊那市の森林整備にお金を出したり、ボランティアを派遣したりすることで、新宿区のCO2削減のカウントに入れるというものだが、この場合は、長野県の森林吸収分のカウントとの関係はどうなるのか?カウントに入れるのか?」というもの。
 県の課長は「ウ〜ン、新宿区がお金を出して森林整備してくれるのは嬉しいことだけれど・・・」と言ったが、その後は答えることができなかった。
 まさか、『新宿・伊那モデル』で整備した分は、長野県の削減した分には入れられないだろう。ダブルカウントになってしまう。森林整備のお金は他所から出してもらいたいが、県の削減数値は減ってしまう、これは困ったということだろう。
 だから、長野県はCO2の森林吸収分を、県の削減目標のカウントに入れるべきではないのだ。むしろ、『新宿・伊那モデル』のような取り組みを、削減が難しい都会にPRし、そうして県内の森林整備が進められれば、森林税を県民から取らなくても良くなる。
 遠くの先どころか、少し先のことも考えられず、目先のことしか考えずに、とれる所からということで森林税を県民からとり、そのお金で整備した森林を削減カウントに入れて、自分たちは努力も仕事もしない、まったくお役人的発想や仕事ぶりに成り下がった長野県政であるとしか言いようがない。

*『新宿・伊那モデル』について
新宿区は20年度から、伊那市の平地林を活用した体験学習事業を実施する。また、森林保全事業により増加したCO2吸収量を新宿区内の二酸化炭素排出量から相殺する仕組み(カーボン・オフセット)を構築し、21年度から伊那市の森林保全や間伐材の利用を支援する予定。両区市は、伊那市高遠地区・長谷地区の市有林を年30〜50ヘクタールずつ整備することを検討しており、これにより年2000〜3000トンのCO2を森林の吸収量増加により削減できると試算している。
http://www.city.shinjuku.tokyo.jp/whatsnew/pub/2008/0210-01.html
2月定例県議会・北山早苗一般質問


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