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2008 年 6 月 3 日     カテゴリ:活動報告
松本市が波田町との合併を考える前に、旧4村との合併の検証は?
〜さわやか早苗日記487〜
 昨日(6/2)に、松本市民のYさんが呼びかけて、波田町と松本市の合併について考える学習会を行った。第1回目なので、(これまでに松本市と合併した)4村との合併がどうであったか検証しようと、元松本市の収入役の市川博美さんを囲み話を聞いた。市川さんは、先の市長選に立候補した際、「合併そのものには、基本的に賛成ではない」との姿勢を示した。収入役時代や市長選を通して、合併について感じたことなどを話してもらった。
 市川さんは収入役時代、松本市には市民が知らないことが山のようにあると感じていた。これは市の職員にとっても同じで、一握りの人たちが情報を持っているだけで、多くの職員は知らされていないことが沢山ある。菅谷市長は市川さんが収入役をやめたとき、「市川がいなくなって風通しが良くなった」と言ったそうだが、これは、一部の人たちの中で風通しが良くなったということで、このようなあり方に疑問を持っていた市川さんが、その中で壁として立ちはだかっていたということだ。
 このことは、合併について市民が考える上で、大いに関係がある。つまり、合併についてのメリット・デメリットを含む正しい情報が市民に与えることにより、市民に選択肢を示す義務が行政にはあるが、松本市はどうか?市川さんは、合併に限らず、情報を出来うる限り市民に示すことが、市民社会を創る基本であると、常々考えてきた。
 また、市川さんが4村との合併の検証で、マイナス面として話したのが、松本市が「市民が一体感を持てるようにしたい」と言いながら、「一体感」が本庁の側から見たものにすぎないということ。つまり、決めることは本庁で決め、支所はそれに従ってもらうという決まりになっていて、支所長のもつ1000万円の決裁権も、上で決まって降りて来た内容についての決裁権に過ぎず、旧4村でやりたいことを上(本庁)に上げられない仕組みになっている。
 市川さんは、それぞれに「資金的裏づけを持つ、自由裁量権」が与えられないと、決定権が持てず、それは住民自治の力を持てないということであり、今のままの合併は、自治の力を失うものであると感じて来た。

 合併したことのメリットもあるとして話されたのが、小さい村の中で曖昧、なあなあで、いつの間にか決まって来たことが、合併によって明らかになって来たものがあるということだ。ただし、松本市の中にも、こういう曖昧なことは沢山ある。
 また、本来の合併のメリットとして、小さな自治体では職員数の少なさから、ソフト力が足りず発想が広がらないが、合併して大きな自治体となることで解決できるということが挙げられる。ただし、松本ではどうかと言うと、合併した旧村の問題はその村の問題であるとして、松本市や松本市民全体で解決策を考えようとはしないため、旧村民の間には「とり残された」という気持ちが漂っている。

 さて、これから菅谷松本市長が市民に問うという、「波田町との合併」については、どうなのだろうか?
 私も定例会に参加してる『松本市財政白書の会』では、4月22日に波田町との合併問題について、菅谷市長に再度の申し入れを行った。波田町との合併に関して、以下のような点を明らかにし、市民にきちんとした情報提供をするよう求めている。
1、波田町の財政状況
2、町立波田総合病院の現状、病院の将来像
3、松本市の財政の現状と、今後の見通し
4、松本市の合併4地区の課題解決(3セク問題など)
 併せて、「今の松本市に、波田町の合併を受け入れる力があるのか?」「波田町が要望するように、新合併特例法の期限内(2010年3月)に、十分合併協議を行った上で合併する時間的余裕があるのか?」という、疑問も投げかけている。
 実は、波田町は2004年に住民投票条例に基づいて住民投票が行われ、合併反対が53.65%で、自立が選択された。しかしその後、合併推進を掲げる太田町長が当選、町長は「市町村合併町民説明資料」を自ら全戸配布するなど、合併に向けて精力的に動き、その後に行われた住民意向調査では、合併賛成が反対を上回った。その際に、合併の最大の理由として町長が主張したのが、「町の財政が大変厳しく、波田町は単独ではやっていけない」ということだ。
 しかし、相手先の松本市民の間で、財政状況の大変な4村と合併したのに、その上、財政状況の悪い波田町を抱え込むことに疑問の声があると聞いた町長は、印象を良くしようと波田町の財政再建を行った。財政状況は黒字に転じ、借金の繰り上げ償還も実施、小学校の大規模改修も行ったり、ごみ袋などの公共料金の引き下げも行った。その成果で、県内の自立を決めた同規模自治体の中では、一番良い財政状況になってしまった…。
 最近では、『財政白書の会』の申し入れの直後の、4/25の記者会見で、町長は「合併は財政のためにだけにするんじゃない」「大きな力を持った自治体がこれからは必要だから」「松本市に助けてもらいたいということではない」と言っている。

 「それなら、自立し、行ける所まで行ってみるべきだ」と、合併反対の波田町議のMさんは言う。私もその通りだと思う。それは、先に書いたように、松本市と合併した旧4村の置かれている状況を鑑みたとき、波田町にとって、吸収合併は決して良いことには思えないからだ。波田町は、人口も15000人、松本のベッドタウンとして人口も増加し、年少人口も生産人口の割合も県内の他の町村と比べると多い、恵まれた町なのだ。
 くしくも、昨日の学習会の参加者からは、「松本市中心市街地に住む我々にとって、波田町と合併したら、波田町民の納めてくれる税金を、我々が搾取できるということじゃないの?」という言葉がとび出した。
 今の松本市と合併したら、「資金的裏づけを持つ、自由裁量権」という自治の力を失った旧4村と同じ状況になると、波田町民は想像してみたほうが良いだろう。
 また、松本市と、旧4村との合併を決めた菅谷市長は、旧4村との合併の検証をしっかり行う必要がある。新たな合併は、そのことなしには、するべきではない。

 6/1には、『長野県住民と自治研究所』の自治体学校が上田の長野大学であり、「合併後の地域は今」というテーマで市町村合併の検証が行われた。長野市に合併した旧大岡、戸隠、鬼無里、大町市に合併した旧美麻、上田市に合併した旧真田、佐久市に合併した旧望月の住民の方々がパネリストとして話した。
 ほとんどの合併した地域では住民サービスの低下など、デメリットが多いという発表だった。また、村で一番の働き先であった役場が、支所になって人数がグンと減り、交換人事で他所からやって来た職員では、以前のような村の人の顔や地域が分かる人は殆どいなくなった。また村の時代の職員は本庁に転勤になり、家族共々市街に引っ越してしまった。このままでは、ますます過疎が進み、10年後には人の住んでいない地区が沢山出てくると…。想像はしていたが、現実は想像より深刻と感じた。

 国は道州制を見据えて、ますます合併を推進しようとしている。効率だけで地域を切り捨てたら、国そものが成り立たなくなる。農林業で地域が自立していけるような政策こそ、いま必要なことだと、パネリストたちは口を揃えて言っていた。


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