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2008 年 6 月 19 日     カテゴリ:活動報告
想像以上に怖いアスベスト問題、ゴミの山が隣接する住民の不安
〜さわやか早苗日記488〜
 松本市中山台の棚峯公民館で、棚峯町会や町会環境対策委員会が主催して、『処理場のアスベストについて学ぼう』という学習会があり、聴きに行った。
 ここには、松本市が20年前に分譲した住宅団地街に隣接して、大きなゴミの山がある。解体業者が、処理場に、ずうっと以前から積み上げた建築解体廃材などの山だ。(下の写真)このゴミ山にはもっともアスベストがいれられていた時代の解体ビルのコンクリートが混じっている可能性があり、住民の健康が心配ということで、学習会が開かれた。すぐ近くには、(旧国立)中信松本病院や県立養護学校もある。
 なお、この解体業者は、以前は産廃の収集運搬業と処分業を行っていたが、不法投棄をしたために、平成14年に長野県は行政処分を行い、業の許可を取り消した。これを不服として、業者は長野県を相手に裁判をおこしたが、平成18年に県側の全面勝訴で終結した。同時期に改善計画書を県に提出し、新規の持ち込みせず、積み上げられた解体廃材の保管量を減らすとしているが、現在でも、解体業での自社処理と称して、新たな廃材が持ち込まれている。自社処理の場合は保管基準があるが、あのゴミの山は明らかに保管基準違反である。
 
 学習会の講師には、中皮種・じん肺・アスベストセンターの永倉冬史さんが招かれ、『市民のためのアスベスト対策』について、講演された。
 2005年にクボタの被害で、日本中でアスベストの問題が大きく取り上げられるようになったが、永倉さんたちは1990年代初期から、すでに、アスベストの危険性について訴え、調査していた。文京区の保育園で園児たちがすごしている横の部屋で、飛散防止の手だてがとられずに園舎の改築が行われた問題で、永倉さんたちは実際にどれくらいの量のアスベストが飛散し、108名の園児たちがどれくらいの発病リスクを背負ったかを調査した。それは人が一生の間に吸い込むアスベストを、たった10日ですってしまったという結果だった。これらの調査をもとにまとめた1998年に出した報告書は、2005年にクボタのアスベスト被害が大きく取り上げられたときに、政府関係者にも読まれたそうだ。

 アスベストは天然の鉱物繊維で、加工しやすく、保温材、断熱材、建築材などに垰領に使われて来た。アスベストを吸い込んだことで、アスベスト肺、悪性中皮腫(胸膜から腹膜にも転移)、肺癌、胸膜炎、などに於かされ、呼吸ができなくなって窒息死する。学校でアスベスト被害の話をする時に、子どもたちにストローで呼吸をしてもらい、こんなふうにしか呼吸ができないと体験してもらうそうだ。潜伏期間が長いのが特徴で、吸い込んでから40年ほど経って発症するが、自覚症状が現れてから死に至るのは早い。
 このような深刻な病をもたらすアスベストの危険性は早くから指摘されていたが、使い続けられた。1987年には学校アスベスト問題がおきたにもかかわらず、アスベスト業界は「管理使用論」を唱え、これに国の役人や学者が協力、アスベストが大量に輸入された。そのため、国が新たにつくるものにアスベストを使うのを禁じたのは2004年で、しかもこれはこれまでつくられ使われているものに関しては、認めるというものだ。これは薬害エイズなどと同じで、本当に日本政府の無責任さや、国民の安全や健康より企業利益を優先する姿勢には呆れる。

 アスベスト被害の症状や国のずさんな対処の他にも、私が永倉さんの話を聞いて、アスベスト問題は想像していた以上に恐ろしいものだと思ったことが何点かある。
 まず、アスベストは空気中に高濃度に飛散していても、見分けがつかないものだということ。埃っぽくなるでもなく、キラキラするでもなく、見分けがつかないとのこと。更に床に落ちるまで10時間以上かかり、歩行することで再飛散するという。このような目には全く見えない細かいものなので、たとえば、掃除機をかければ、かえって飛散させてしまう。

 次に、アスベストはありとあらゆるものに使用されているという点だ。天井裏や空調室、エレベーター機械室、ポンプ室や機械室、倉庫などの吹き付け、波形スレートやコロニアルなどの屋根材、Pタイルなどの床材、ケイ酸カルシウム板などの内装材、難燃外装材など、建材として何処の家にも使われている。また、セメントにも混ぜられていたり、水道管、車のブレーキ、空調パイプのパッキン、製造過程でアスベストが使われ付着しているテレビのブラウン管など、私たちはアスベスト製品に囲まれて生活して来た。
 これらのものは、建物の解体の際、きちんと分別されていないという。吹き付けアスベストの除去などには、国は基準を設け、許可を受けた業者しか撤去作業ができないことになっていて、撤去したものは特別管理型処分場に入れられることになっている。しかし、実際には、様々なものに含まれているアスベストはこのような処理はされておらず、アスベスト入りのものがリサイクル原料として混じってしまうと、永久にアスベストは使われ続けることになる。

 更に、危機管理上問題なのが、災害が起きた時だ。壊れた建物を片付ける際、本来なら飛散防止の対策がとられる中で行われる作業が、災害の緊急時の中では行われがたい、永倉さんの所には新潟の地震でボランティアで家の片付け作業に参加したが、何日も片付けに追われ、一段落してふと気づくと、アスベストの吹き付けが建物内にあったことに気づいた、大丈夫だろうか?という相談が寄せられたという。
 地震が起きる前に飛散性の高いものから行政が戦略的に取り除くことが重要だと永倉さんは言っていた。

 それから、吹き付けなどの飛散性の高いものが撤去の対象となっているが、飛散性ではなくても、学校などでは、アスベスト入りの天井などが生徒によって傷つけられていることが多い。永倉さんの調査では、天井を掃除用具で引っ掻いたり、ボールをぶつけたりなど、学校のアスベストはボロボロになって、そこから空気中に飛散している。現に学校の先生には悪性中皮種で亡くなる方がいるそうだ。

 さて、中山台団地に隣接するゴミの山の中に、アスベストは含まれているのだろうか?永倉さんは、「私たちのような者が中に入ればわかる」と言っていた。しかし、現在、住民はゴミの山をつくっている会社内に入ることはできない。行政に協力してもらい、住民が専門家とともに中に入れる協定などを結ぶべきだと言っていた。ただ、行政が業者に先に連絡をし、行った時にはきれいにしてあるというようなことも、よくあるという。
 永倉さんの講演のあと、住民からは口々にゴミの山への不安を訴えていた。町会長さんは「行政の協力を得て話し合いに持って行きたいが、難しい」と嘆いていた。
 先の2月県会で可決された県の廃棄物条例では、アスベストの関しては、国の方が整備されたという理由で、田中県政時の条例案には盛り込まれていたアスベスト関連がそっくり取り除かれてしまった。
 使用禁止が遅れたため、アスベストの含まれている建材がゴミになって排出される量は2025〜35年ごろのピークに向かい、これからどんどん増える。県にはこのようなことに関する認識はあるのだろうか?はなはだ疑問だ。


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