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2004 年 1 月 4 日    
高い目標故日本人には迷走と映った海外の政策と、信州改革
〜さわやか早苗日記181〜
 今年も小学校教師時代の教え子から何通か年賀状が届いた。数年前から自作の挿絵の年賀状を送ってくれる子は、ある県の県庁で非常勤職員として働きながら好きな絵を描いている。とても素敵なイラスト、文面には「日々勉強の日です」と真面目なお嬢さんだ。
 実は、私がイラクへの自衛隊派遣反対の討論の中で教え子の思い出として述べたのが、小学生の彼女とのやりとり(12月19日の日記参照)。彼女はきっと覚えていないかもしれない。今年もこうやって年賀状が届く、不思議な縁を感じる。

 今日は一日、岩波新書の「共生の大地−新しい経済がはじまる−」という本を読む。著者は内橋克人氏、1994年に日経新聞に連載していたものをまとめたもの、当時大きな反響を呼んだそうである。
 企業が必要とするこれまでの「企業内有用労働」から、福祉関係や環境保全分野など社会が必要とする「社会的有用労働」への転換の必要性、「企業一元社会」ではない「多元的経済社会」へ日本経済が転換する必要性を述べている。市民事業やNPO、働く人だけが経営者という協同組合による新たな質を求める事業や、環境負荷ゼロ、脱化石燃料をめざしたエネルギー自給、途上国フィリピンネグロス島との共生などに取り組む人々の活動を現場取材し紹介する中で、新しい経済のシステムの始まりと、立ちはだかる行政の壁を描いている。
 10年前に発行された本だが、今程、この本に書かれている社会への転換の必要性が感じられる時はないと思う。
 本の中で、各国のエネルギー政策と日本を比較しながら紹介している。日本では、国のエネルギー選択を決定づける「総合エネルギー調査会」の報告書には結論に至る根拠が示されていないので、一般市民は政府の見通しに参加も、反論も、同意することも出来ず、エネルギー政策は役人と電力・石油などの業界により決められ、学識経験者も御用学者。
 これに対して、アメリカでは市民の側にたつ科学者同盟などの専門家が政府案に対する代替案を提示し、それを議会が真剣に受け止めて政府案が修正されていくそうである。今、それなのに石油を求めてイラクへ侵略したアメリカ、それに日本が追従するのは、エネルギー政策を政・官・業の制服組が決めているからだと私には思える。
 スウェーデンのエネルギー政策について、「集中型エネルギー供給システム」から、地域でエネルギーを供給する「分散型エネルギー・システム」への大転換の政策だったとし、地球的規模でのエネルギー問題の解決にはスウェーデンの方法が一番と言っている。しかし15年ほど前には、日本では「スウェーデンはエネルギー政策において迷走し苦悩している」と言われていたそうである。
 スウェーデンでは「この政策を実現するためには、産業構造、交通体系、社会全体の電気の利用方法を見直し、必要ならば法の改正など社会システムの変更も伴うので、産業界や国民各層の協力が必要」という高い目標を掲げて取り組んでいたので、そういう政策決定経験のない日本人には迷走・苦悩と映ったのだと内橋氏は言っている。
 これって、田中知事の信州改革について、「迷走」などと書いている新聞やマスコミと同じじゃないのと思った。今日も特集で叩いている新聞があったっけ、狭い長野県人根性は捨て、もっと世界に目を向けよと言いたい。

 田中知事は目に見える箱モノを造っているのではない、新しい社会のシステムを創っているのである。学校生活や日記の中で交わされる教え子との会話の中では、子供がどのように成長し大人になるのかは見えない。しかし、十年以上たって立派に成長した彼女からの心のこもった年賀状が、私の手の中にある。


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