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2004 年 5 月 15 日    
非現実的な基本高水設定を「緑のダム」で検証してみせた徳島市民
〜さわやか早苗日記257〜
 ダムに頼らない流域管理や地域づくりは、具体化が必要となっている。 そうした中、吉野川第十堰問題で全国的な注目を集めた徳島では、行政とNPOの協働により吉野川上流域での「緑のダム」を検証する調査研究が実施された。長野県でも林務部が薄川をモデルに水文学的な研究結果をまとめている。
 そこで、「あおぞら」の私と宮川速雄議員、林奉文議員の3人で、他会派の議員有志に呼びかけて、「緑のダム」の検証方法をさぐる公開学習会を行った。1月に私と林議員とで 、「吉野川みんなの会」をおとずれた際に、3月に調査結果が出るとお聞きし、会代表の姫野雅義さんには、ぜひ長野県に来て話していただきたいとお願いした。(1/26日記参照)
 公開学習会は、14日は長野のもんぜんぷら座、15日は松本・カナデアンホールで行い、始めに中根周歩・広島大学教授(吉野川流域ビジョン21委員会委員長) に 「緑のダムの実証研究について」、次に姫野雅義さんに「市民参加型調査の経験から学んだこと」、最後に長野県林業センター育林部長・片倉正行さんに「長野県における取り組みについて」話していただいた。

 中根教授によると、森林の洪水防止機能は土壌の状態によるもので、山の植生の変化に影響を受ける。降った雨水が土中にしみ込まずに、一気に山の表面を流れ下ると、川は増水し大洪水がおこる。しかし、雨水が浸透し易ければ、しみ込んだ水は地下に貯まっていてゆっくり川に流れ出す。土壌の大切さを、林業センター・片岡さんも話していた。
 中根教授らが森林の持つ浸透能と貯水能を現地調査したところ、放置され手入れ(間伐)不足のスギ・ヒノキ人工林では、自然林に比べ浸透能は1/2.5、貯水能は10%も低下していることがわかった。また、伐採直後や幼齢林では浸透能は自然林の1/5に低下している。 
 また、これをもとに吉野川流域に於ける、森林の変遷と治水機能の変遷を推察した。1960年代初期の流域は最も高い浸透能、1970〜80年代初期の一斉拡大造林による急激な浸透能の低下、1990〜2000年には人工林の成長により回復したものの、頭打ちとなっている。これは現在、流域森林面積の65%を占める人工林が手入れが極めて不十分なため、根はむき出しになり、表土が流れてしまっているため。
 もし、放置人工林を適切な間伐すれば、豊かな植生の針広混合林になり、5年で自然林に近い浸透能や貯水能を持つ森になる。
 国交省が治水計画ではじき出している基本高水(洪水時に於けるピーク流量)は、一斉拡大造林後の荒れた山林を基準にしている為、可動堰計画では24000立方m/秒。しかし市民による『緑のダム』の実証研究により、人工林の成長で1999年には19000立方m/秒に改善されている事がわかった。もし、20年がかりで森を手入れし1961年当時の18000立方m/秒の流域に戻せば、可動堰は完全にいらなくなる。かかる費用も年間7億円ほど、これは可動堰の維持費より安い。また「緑のダムづくり」の公共投資は補助金も含め年間15〜20億の地元への投資となり、過疎の村の地域振興につながる。
 森林の持つ洪水防止機能を高める必要性は、皆、思ってはいる。が、その当たり前の事を実証してみせた所に、吉野川の市民活動のすばらしさがある。長野県でも、穴あきダムなどコンクリートの建造物に頼るのではなく、緑のダムをつくる必要がある。また基本高水の設定が、現実にそぐわない事も実証してみせる必要がある。
 50年しか持たないコンクリート建造物を選ぶか、100年、それ以上将来に残せる緑のダムを選ぶのかは、住民の選択だ。徳島県民は250年の歴史を持つ第十堰の保全と、緑のダムを選択したいと、姫野さんは目を輝かせていた。


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