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2004 年 11 月 15 日    
故郷を思う県民の想いでたてられた島崎藤村記念館
〜さわやか早苗日記325〜
 今日は、越県合併で話題の木曽郡山口村馬籠の島崎藤村記念館で、藤村の『初こひのうた』詩碑除幕式があり、見学して来た(写真)。
 記念館案内によると、藤村は明治25年3月25日馬籠宿の旧本陣に生まれた。明治30年第一詩集『若菜集』を刊行し、近代日本浪漫主義の代表詩人として文学的第一歩を踏み出し、『一葉舟』『夏草』『落梅集』を刊行。明治38年、長野県飯山市の被差別部落解放を書いた『破壊』を自費出版し小説家に転身、続けて『春』『家』などを出版、日本の自然文学主義を代表する作家となる。昭和4〜10年まで「中央公論」に、父がモデルの長編小説『夜明け前』を連載、歴史小説家として高い評価を受けた。
 藤村の作品の多くは信州を舞台に書かれている。
 今日除幕式が行われた『初恋』は『若菜集』に収められていて、「まだあげそめし前髪の林檎のもとに見えしとき まへにさしたる花櫛の 花ある君と思ひけり」と詩い始められ、近代詩上初めての恋愛詩と言われる。藤村記念館館長の今日の講演によると、『花ある君』は、9歳まで過ごした馬籠の生家の隣の娘がモデルとのこと。初恋には『林檎』という言葉が3回出てくるが、藤村の詩の中には故郷や信州のイメージが溢れている。

 さて、藤村記念館は、昭和22年に「文豪藤村を顕彰するものを造りたい」という馬籠の人々によりふるさと友の会が結成され、勤労奉仕により藤村堂が建てられた。25年には「人間藤村の生涯の記念になるものを保存し、後代の人々の為に計る」として、長野県内の小学生から大人まで県民あげての寄付を受けて藤村資料館が造られ、記念館として開館した。
 戦後間もない苦しい時代に沢山の浄財が集まったのは、山崎たつえさんの調査によると「信濃教育会が藤村の読み物の普及など、郷土・信州の作家である藤村への想いを、子ども達の心の中に長年にわたり培って来たから。このため、今でも藤村=信州という想いが県民の中に強い」とのこと。

 今日の詩碑除幕式では、記念館賛助会員代表の挨拶の中で「信州の馬籠」の言葉があった。越県合併が話題になっている為か、皆、挨拶や話の中で敢えてそれには触れないようにしていたようだが、思わず口にしてしまったのかもしれない。
 藤村は馬籠を「血につながるふるさと、心につながるふるさと、言葉につながるふるさと」と語った。館長は講演の最後に「記念館は藤村の詩魂に捧げられた殿堂だ」と話された。「血・心・言葉」という藤村の故郷への想いを、後代の人々に伝えたいとして、故郷を思う県民の想いでたてられた記念館を、長野県が失ってしまって良いのだろうか?

 帰りには合併すると廃校になってしまう山口村立神坂小学校にうかがった。現在46人の児童が長野県の支援で複式学級ではなく学んでいる。クラスを覗くと、一人一人に先生の目が行き届いた教育が行われている様子が、手に取るようにわかった。
 平成10年完成の木造校舎は、信州木曽の5木(ひのき、あすなろ、ねずこ、さわら、こうやまき)を用いて建てられ、美しく暖かみがある(写真)。その中で、廊下に貼られた「神坂小での思い出」という絵が、何だか寂しそうだった。

 ところで、「自律は破滅」と村民に説明して来た村長だが、人口2000人の山口村村長の平成19年の予想報酬が年収1700万円、職員の人件費平均790万円(年)×45名で、増えることになっている。(山口村財政シュミレーションp6より予測)。これでは、自律を願う村民の納得が得られるのだろうか?ちなみに人口2500人の栄村村長の報酬は年収1000万円だ。


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