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2006 年 11 月 12 日    
脱ダムからダムに後戻り?高すぎる基本高水はダムを造るため?
〜さわやか早苗日記419〜
 浅川の治水対策に関し、村井知事が11月18日の夜に、豊野老人福祉センターで浅川下流の住民を対象に、また、19日午後に、浅川公民館で浅川上流域の住民を対象とした、意見交換会を開催する。
 長野県は12月県議会までに治水対策の方向性を出す方針である。『脱ダム』から『再びダムへ』に戻ってしまうのか??
 実は、長野県に限ったことではなく、住民の話し合いの結果できうる限りダムに寄らない治水を目指すことになった淀川流域委員会でも、この10月には国からの圧力で活動停止を求められ、委員会そのものが存続の危機にある。

 そこであおぞらでは住民の皆さんにご協力いただきながら、『脱ダム』の意義を全国的な視点から考えたり、6年間長野県で培われて来た住民参加による治水対策の流れを再検証したりする中で、浅川を例に、住民の望む治水のあり方についてもう一度考えてみるためのシンポジウムを企画している。
 住民参加の治水に関わって来られた、淀川(滋賀県琵琶湖から大阪湾に流れ込む川)水系流域委員会の委員長である今本博健・京都大名誉教授(河川工学・水理学)の講演や、長野県や他県の住民からの問題提起をお聞きする中で、過去に縛られず前向きに議論を深められればと願っている。
 日時、及び場所は、11月26日(土)午後1時〜5時、長野県教育会館(長野市内)で。詳細が決まり次第、お知らせ欄に掲載します。
 この他にも、11月18日には共産党県議団の呼びかけで、あおぞら、トライアル信州も一緒に、浅川・県議会報告会が、12月2日には浅川・千曲川等治水対策会議が主催して、地質面から浅川ダムの是非を問うシンポジウムが開催される。こちらも詳細が決まり次第、お知らせします。
 長野県から始まった『住民参加による治水』の流れを止めぬよう、ぜひ、多くの県民の皆さんの参加を呼びかけたい。

 さて、今日は松本市内で高水協議会が開催された。
 浅川を始め、諮問9河川のダム計画において、流域協議会の中で「基本高水流量の値が高すぎるのではないか」という声があり、9河川の基本高水の算出について検討・研究のために昨年9月に、高水協議会が設置された。メンバーは各流域協議会に参加してきた県民の中の希望者が19名、県は事務局を努めることでお手伝いをし、あとは会員のボランティアで運営されて来た。
 今年8月の中間報告では、基本高水の再検証の必要性が、さまざまなデータを基に述べられている。従来のダム計画が、高すぎる基本高水の基につくられたものである可能性があるというより、ダムを造りたいがために、高くしたのでは?という声もあるが、まさに、そこに疑問を、より具体的に投げかけた形である。

 中間報告に寄ると、長野県が諮問9河川で設定している基本高水流量の算出手法や決定過程への疑問や主な問題点は、以下のような点である。
1、雨量資料の収集‥‥時間雨量データのある雨量観測所が流域をカバーしていない河川があり、流域の降雨特性が把握出来ていない。
2、流量資料の収集‥‥水位・流量観測は、低水観測(平時の観測)のみで高水時の高水観測(洪水時の観測)がされていない。また観測所の設置位置が河川上流部やダム計画地点付近となっている河川が多く、当該河川全体の計画を立てる位置としては不適当である。
3、治水基準点は、市街地等の洪水防御大正区域の直上流で本川の影響がなく、水位・流量観測データが十分に得られる地点を選定することとされているが、多くの河川がその様になっていない。
4、対象降雨の降雨量の決定‥‥対象降雨継続時間の妥当性、雨量の確率処理手法の適合度、収集降雨群の選定根拠が明確でない。
5、流出解析‥‥流量解析に使われている貯留関数法では、いくつかの定数を実測高水流量データを基に設定することとなっているが、高水流量観測が実施されていないため、この定数設置根拠があいまいである。
6、「100年に1回の割合で起こる降雨量」にかかわる確率をもって、あたかも「治水安全度が100分の1」すなわち「100年に1回の割合で起きる洪水」にかかわる確率と、誤解させている。

 たとえば、浅川の基本高水流量450t/秒の算出根拠となったデータで見てみると、
1−1、流域内に雨量観測所がなく、流域外の4観測所の雨量データを用いて対象雨量を決めている。
1−2、基本高水算出に大きな影響を与える『時間雨量データ』については、4観測所の内3カ所にはなく、浅川流域外の長野観測所のみが保有。しかも、長野観測所の浅川流域へ影響を及ぼす範囲は、1/4未満。
1−3、現行基本高水流量450t/秒を算出後に、長野県が、浅川流域内でダム集水区内の中心に位置する飯綱雨量観測所を設置した。平成7年の豪雨時の飯綱観測所の雨量データと、長野観測所のデータを比較してみると、降雨パターンが大きく異なっている。つまり、長野観測所(浅川ダムのための基本高水の算出根拠)のデータは、浅川の流域雨量を代表していない。
2、水位観測所データは、浅川ダム計画地点から1、4km上流地点のものである。適切な場所は中流域であり、平成15年になりやっと富竹水位観測所が設けられた。
3、浅川の治水基準点は、千曲川の合流部に設置されており、千曲川の影響や、水門が閉まったために千曲川に排出されなくなった内水の影響を受けるため、水位計が設置されていても流量観測は不可能。
4、対象降雨の降雨量決定のために集められた収集降雨群は浅川で13洪水だが、どれも大洪水を起こしたか否かの災害履歴がない。
5、現行基本高水流量450t/秒を算出後からダム計画が進められた20〜30年間の間に、実績流量の観測ができたはずなのに、なされて来なかった。基本高水450t/秒は日雨量130tを前提にしているが、平成16年の台風23号ではこれに近い124.5tの降雨があった。この時の富竹観測での流量は43.8t/秒で、同地区での高水流量に相当する260t/秒の1/6にすぎなかった。

 このように、基本高水流量については、多くの疑問点がありすぎる。浅川も、砥川方式のように当面20年間の安全度を確保するための河川整備計画でもって国に認可を求め、その間に基本高水の再検証を行うことが、最も堅実な道ではないか。またその際、「基本高水を再検証して、仮に値を下げたとしても、治水安全度を下げることにはならない」と、住民に良く説明し理解を求めるようにするべきだ。
 環境破壊であるダムを、すぐ下流域に広がる長野市街地に住む住民を危険にさらす可能性がある地滑りの巣の中につくって、将来に禍根を残すようなことは、避けるべきなのだ。地質上の危険性を言うと、最高の技術をもって造るから安全と返すだろうが、そうすると建設費用はどんどん嵩む。
 河川改修や流域対策でもってできる限りのことを行えば良いものを、わざわざダムを造りたいその心は?一般市民には図り知れない。福島県や和歌山県の世界に近いのでは‥‥という声もある。
高水協議会


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