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2007 年 5 月 24 日    
三郷廃棄物処理施設問題を控訴するか?村井県政の姿勢が試される
〜さわやか早苗日記440〜
 産廃業者が安曇野市三郷北小倉区に建設した中間処理施設について、業者が「稼働に必要な申請を受理しないのは行政手続法違反」だと主張して、県を相手取って申請を受理し、許可するよう求める行政訴訟を起こしていた。
 21日長野地裁で、その判決があり、私は大勢の北小倉区民や堀金三田区民、JAあづみの皆さんと一緒に、長野地裁に傍聴に行った。傍聴席は数人しか入れないため、廊下で待っていた。
 判決は10分程で言い渡された。宮永忠明裁判官は「県が受理しないのは違法」と認定した。また許可するよう求めた訴えは、受理した上で「専門的な見地」から県が判断すべきものであるとして、棄却した。
 北小倉区民と堀金三田区民、JAあづみでは、判決後、記者会見を開き「環境面からも施設稼働は反対である。生活の権利を脅かされるのは地元住民。今後も操業は絶対許さない立場を堅持する」という共同声明を発表した。(写真)

 判決で、裁判官は県が業者の申請を受けたまま判断を下していないことを、「申請に対して処分をしなければ違法となる6カ月を経過したことに、特段の事情は認められない」と言い、業者の訴えどおり、違法であるとした。
 業者の事業計画は平成15年12月に地元区長の同意書を添えて出され、いったん県から承認された。だが17年2月、地元住民たちが「説明が行われていない」などとして、「同意書撤回通知書」を知事に提出。これを受けて県は翌月、承認を取り消していた。
 今回の訴訟は、こうした経緯を経た後の17年10月と18年2月に業者が出した、廃棄物処理法に基づく事業範囲の変更申請について、県がこれを受理せず、許可するか否か結論を出していないことをめぐって起こされていた。
 裁判官は、行政手続法などで規定された「標準処理期間」の56日を過ぎており、「申請から最大限に見積もっても、6か月間処分が行われない」「申請に対して処分をしなければ違法となる6カ月を経過したことに、特段の事情は認められない」と述べ、「住民同意などの手続きに不備があるため、申請を受理していない」とした県の主張を退け、業者の訴えどおり、違法であるとした。

 判決を受け、県廃棄物対策課は「県の主張が認められず、一部敗訴という判決は非常に残念。判決文の内容を詳細に検討させていただき、控訴を含めて対応を考えたい」とし、2週間以内に控訴するか、しないかを判断すると言っている。
 もし、県がこの判決について控訴せず認めれば、同施設で操業が可能となりかねない。

 私は、この判決について大いに不満だ。まず、裁判官は「原告の態度が地元住民に対して信義に反しているとはいえない」と言っているが、裁判官は、業者が地元住民にとって来た態度や行為を充分把握しているのか?
 裁判官は、一旦県が受理した業者の事業計画に対し、平成15年12月に地元住民たちが、「同意書は区長を騙し、区民に説明をせずにとられたものである」として、知事に「同意書撤回通知書」を提出する際、区民の80%近くもの署名を添えられていたことを認識していたのか?
 また、県はこのようなことをきちんと、弁護士に伝えていたのか?
 地元住民からも、「判決文の中において、『地元同意書』について、区民のほとんど全員がなにも知らされておらず、その上、区内で正式な手続きを踏んで白紙撤回されたにもかかわらず、『真正な同意書』と認定されている点が、明らかに不当判決であり、司法の、あまりにも住民を無視したやり方に強い憤りを覚える」という声が寄せられている。
 県が今回の判決に対して控訴しないならば、県のこの裁判に対する姿勢が問われることになる。それは、これまでとこれからの廃棄物行政に対する姿勢−−業者のための廃棄物行政か、住民のための廃棄物行政なのか?が、問われるということだ。

 更に、県は今回の判決について、国の廃棄物処理法では事業範囲変更について、「知事の許可を受けねばならない」とあるが、地元の合意は必要な要件とされていないためではないか、と言っていた。
 しかし、憲法には『基本的人権(生存権)』や『住民自治』が保障されている。憲法は法の根拠となるものである。
 三郷北小倉区の中間処理施設は、年間1万3500tもの堆肥化を予定しており、これはひどい公害を起こしていた飯山堆肥センターの平成15年度の堆肥製造量の1万2000tを上回る。また、プラスチック圧縮破砕、チップ化、廃油処理等(産廃処理のオンパレード!)の全ての処理量は合計日量280t、年間10万t以上にもなる。このような大規模な廃棄物処理施設が、地域住民の同意なしに造られ稼働して良いはずがない。
 長野県は田中前知事以前から慣例として、廃棄物処理施設を設置申請をする際には地元同意を求めて来た。田中前知事になり、設置要綱の中に地元の同意書が明文化された。
 もし、仮に県が廃棄物処理法を理由に控訴しないとなると、長野県では廃棄物処理施設は地元の同意なしに造られてしまうことになり、これは住民にとって明らかに廃棄物行政の後戻り、田中前知事になる前よりも、もっとずうっと以前の所に後退したことになる。

 もう一つ、地元同意について考えてみる必要がある。県の設置要綱で求めているのは施設が建設される区の同意であるが、北小倉の施設は区の端に造られ、回りの農地は堀金三田地区であり、地形は三田に向かって低くなっている。つまり、施設が造られたところは安曇野の扇状地の扇頂部で、もしここで公害が発生し地下水が汚染されたりすれば、三田地区だけでなく、穂高の水道源となっている地下水やワサビ田まで汚染される可能性もある。つまり、扇状地の扇頂部にこんな大規模な廃棄物処理施設は造ってはいけないのである。
 廃棄物業者だけでなく、市町村が造る廃棄物処理施設も地元の反対をかわすために往々にして地区の端に造られるケースがよくある。しかしそのすぐ隣には、地区が違っても人が住み、田畑があるのだ。地元同意とは何か?長野県は行政や業者のためではない、住民の立場に立って、この問題にも真摯に取り組み、出来るだけ早くに『住民のための廃棄物条例』を制定する必要がある。

 北小倉区民と堀金三田区民、JAあづみは、共同声明の中で、「安曇野の農作物を直接の被害や風評被害から守り、生活の権利を守り、祖先が営々と築き上げてきた美しい田園風景を守り、また未来を担う子ども達の健康を守るためにも、私たちは今後も団結して、この施設の稼動を阻止し、施設が完全に撤去されるまで、戦い続ける」と、決意を述べた。
 また、判決や記者会見後に行なわれた住民と県との懇談では、「日本の法律の中で環境問題は遅れている分野である。しかし、住民意志と関係なくこのようなことがまかり通って良いのか?住民をないがしろにして法律論で進むことには問題がある。行政は住民意志を尊重し住民自治を守る立場を貫くのが役目である。自信を持ってこれまでの指導要綱を貫くべき。控訴をして欲しい」という意見など、住民の立場に立った廃棄物行政を求める声が相次いだ。(写真下)
 田中前県政で住民意志を尊重し白紙に戻した施設だ。ここで、村井県政の姿勢が試されている。


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