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2007 年 11 月 25 日    
ダムと地滑り・・・埼玉県秩父にある滝沢ダム&二瀬ダム<2>
〜さわやか早苗日記464〜
(前回の続き)
 二瀬ダムのダム湖の上にある他の集落にも行ってみた。廃校の小学校が埼玉県自然養護学校になっていたが、昭和初期に小学校を造るために積み上げた立派な石垣は隙間だらけ、石垣の大きな石がひび割れていた(写真上)。
 近くにいたおばあちゃんが自宅の石垣も沈下によりひび割れていると、案内してくれた。また、同じ集落の他のお宅も案内してくれ、行ってみると、10年ほど前に建てたばかりの家はあちこちひび割れ(写真下、左)ていた。古い方の家のコンクリート土間は、埋めても埋めても下がり続け、大きくひび割れていた(写真下、右)。
 この家にお嫁さんに来られた女性は、「国からも県からもいろんな人が調査にくるが、何も解決しない」と、やり場のない怒りを押さえながら、訴えていた。この家も、先の旅館も、おばあちゃんの家も、すべて自費で直し続けている。ダムの影響は明らかなのに、国は一切弁償する事は無い。あまりにひどい話だ。

 応用地質研究会の皆さんの話では、崖錐地形という過去(数千〜数万年前)に滑ってできた地形に、畑や家ができ集落が営まれてきたが、ダムが造られ、崖錐地形の地質である礫や土の間に、貯水により水が浸透し、排水した時にしみ込んだ水が抜ける際に土や礫も引っ張られて出てくることにより、地面の下がまるで骨粗鬆症のような状態になり、地盤沈下がおき、地割れが起きているのだろうと言う。応用地質研究会の、コンサルで地質調査をやっている方は、「すぐに地滑りと言って良いのかはわからない、ボーリングのコアの様子を見ないと」と言ってはいたが、とにかく、こんなに沈下が起きていては、人が住めるような状態ではないことは確かだ。
 奈良県大滝ダムの白屋地区と同じ状況であり、滝沢ダムでは水没しない家屋もあらかじめ移転をさせたではないか、国はダムと地滑りの関係を認めてということだ。これ以上、二瀬ダムの住民に負担を強いたまま、国や県がしらばっくれているのはおかしい!
 即刻移転を進めるべきと思うが、二瀬ダムの上にある集落の皆さんが、「ここは住み良い良いところだった」という言葉が印象に残った。谷の中腹にあり、日当りもよく、昔から人が暮らしてきた集落だ。ダムがなければ崖錐地形は安定していて、地盤沈下もおこらなかったろう。奈良県白屋地区をはじめとして、ダムのおかげで昔からの集落が消える。人々が暮らすことで国土は守られてきたのに・・・。

 帰りに、滝沢ダムや二瀬ダムのよりも10kmほど下流の荒川支流・浦山川に造った浦山ダムによってみた。平成8年に完成した高さ156m、総貯水量5800万tの重力式コンクリートダムだ。観光客で賑わっていたが、ダム湖の上には集落が残っていた。ここは、地滑りは大丈夫なのだろうか?
 浦山ダムのある旧荒川村も合併して秩父市になった。秩父市には二瀬ダム、浦山ダム、滝沢ダムと3つも巨大ダムがあるというわけだが、秩父市や旧秩父郡には、自然保護に関心があったり、ダム反対の住民団体はいなかったのだろうか?一緒に行った長野県民は、「住民がお人好しすぎるのでは・・・」と、言っていた。とは言え、被害に遭っている人たちだけで運動をするのは、被害に対する弁償問題などもあって、相手に足下をみられてしまう。秩父市民や住民団体が力を貸してあげる必要があると思った。

 さて、地滑りダムは、長野県浅川ダムや奈良県大滝ダムだけと思っていたが、実は、日本では、ダムが造られるような山間地には、どこでも同じような地形(崖錐地形)をしているということが、今回調査に参加してわかってきた。そこが(歴史上記録などに残っているなど)過去に滑ったりしたことがあれば地滑り防止区域に指定されるが、昔からの集落があるところで、指定区域に指定されていないところが沢山ある。
 地滑り指定地になっていようがなっていまいが、ダムを造りたい国や県は、とにかくダムを造り続けたい。滑ったら、地滑り対策工事をやれば良い、地滑りが起きれば公共事業が行え、お金が使えて良いというわけだ。
 浅川では、地滑りが起きないように対策工事をすると言う。地滑りが起きたとしても、お金をかけて、工事をすれば良いと思っているのだ。そして、村井知事や土木部は、外水被害のためにダムを造るとは言うが、長野市が出したハザードマップによれば、浅川中流域の1/100確率の雨による外水被害は、浸水想定50cm以下のところが殆どだ。つまり、大したことのない被害なのに、災害を防ぐという名目で、ダム本体工事以外に地滑り対策工事で公共事業が沢山できる、おいしい計画が浅川ダムだ。住民が、「地質が危ない」と言えば言うほど、彼らはお金が使えて嬉しいのかもしれない。
 こう考えると、日本で地質の悪い所にダムを造るのは、治水利水のためだけではなく、単に公共事業を行いたいからではないかと思えてくる。こんなことは、もうやめて欲しい。
 できうる限りダムによらない治水を進めるべきだし、借金だらけの日本は、公共事業の質やあり方も変えなくてはいけない。そうしないと、残るのは借金と人の住まない荒れ果てた集落の跡だけになってしまう。
二瀬ダムHP


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