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2008 年 5 月 7 日    
淀川水系委は「ダムの必要性説明が不十分」と結論、浅川ダムは…
〜さわやか早苗日記483〜
 国土交通省近畿地方整備局の諮問機関「淀川水系流域委員会」は3月22日、大戸川ダム(大津市)など琵琶湖・淀川水系4ダムを、河川整備計画に位置づけることについて、「整備局の説明は委員全員が十分に納得できるものとはいえない」と結論づけ、ダム建設は適切ではないとして、計画原案の見直しと再提示を求める意見書をまとめた。
 流域委員会では、大戸川ダムは200年に1度の洪水時に淀川の水位を19cm下げる効果しかないことなどを明らかにし、「整備局の説明はダムがどうしても必要であるという十分説得的な内容でなく、環境への影響もダム建設を前提とした検討であり不十分」と判断したそうだ。

 では、浅川ダムではどうか?一番住民が困っている浅川下流域での千曲川との関連で起きる内水災害に、浅川ダムが及ぼす効果は、現状のポンプ能力で5.6mm、ポンプ能力を上げても3.1cmほどに過ぎない。県は、このことが指摘されると、以前の説明とはうってかわって、ダムは、浅川下流の内水災害のためではなく、中流域の外水災害のためにダムを造ると開き直った。
 しかし、外水による災害も、掘込み河川のため堤防が決壊する事はなく、溢れても50cm以下と長野市のハザードマップにも示されていて、しかも、扇状地で勾配があるため氾濫水はサーッと流れていくので床下浸水程度と、河川工学者の今本・京都大学名誉教授も言っている。
 おまけに、県は100年に1度の洪水のために浅川治水専用ダムを造ると言っているが、前々回の日記にも書いた通り、実測データをもとにすれば、浅川ダムに110万tもの水が貯まるような大雨は200年に1度どころか、500年、あるいは1000年に1度と、県民から指摘されている。
 「淀川水系流域委員会」と同じ考え方をすれば、「治水効果という点で、県の説明は、浅川ダムがどうしても必要であるという十分説得的な内容でなく、不十分」ということになる。

 4月25日に、浅川ダムにずうっと疑問を持ち反対し続けて来た内山卓郎氏に案内してもらい、浅川ダム予定地の地層や土砂流出の様子を現地調査した。
 上の写真は、ダム建設予定地すぐ上流の谷から、1995年の梅雨前線豪雨の際に、大量の土砂が押し出され、県が整地をした跡(中央下の砂防工事をほどこした所。なお、左下にある白い四角はダム軸予定地を示す板)。この時には浅川ダムサイト周辺で多数の斜面崩壊があったり、支流の南浅川では土石流が発生し、市道を塞いだりしている。
 県は、浅川には大きな石は流れて来ない、だからダムの河床の穴が塞がれる事はないと説明しているが、こんな斜面崩壊があちこちで起きたら、大きな石や岩が落ちてくるはずだ。写真下左は、ダム建設予定地のすぐ下流にある古い堰堤。堰堤の上に1m以上もあるような大石がある。ということは、この石は元々ここにあったものではなく、堰堤が、おそらく30〜50年ほど前にでき、土砂で埋まった後にここに流されて来たものだ。
 浅川には大きな石がごろごろあった。斜面崩壊や谷からの土石流で崩れて来た大石や岩が浅川本川に落ち、それが洪水によって流されて来たものだ。石や岩だけでなく、根っこのはった木も流されてくる。ダムの穴の前に鋼鉄製のスクリーンを設けるそうだが、スクリーンに流木や石が大量に引っかかれば、それで流れがせき止められ、穴は直接詰まらなくても、結局穴が塞がったと同じことになるのではないか。

 そんなことを質問すれば、土木部は、「浅川ダムは、流木や岩や大石が土石流となって下流へ流れ下るのを食い止めてくれる」とでも言うのだろうか?
 しかし、治水専用ダムは砂防ダムではなく、洪水を防ぐ目的で河床に穴をあけたダムなのだ。砂防(土砂)対策なら、は別の効果的な対策をとるべきだ。
 この地域でまず必要な土砂対策は、地滑り対策だ。
 内山氏によると、1991年3月12日に県がダム地点を決めた11日後に、皮肉なことにダム湖予定地の一の瀬右岩で地滑りが発生した。県はこの事実を発表せず、「推定深度30m、浅川へ流入する土砂推定量260万立方メートル、推定被害総額20億円」として、国へ地滑り指定地の申請手続きをした。92年5月地滑り指定され、91〜92年にかけて4つの集水井や集水横孔6000mなどの地滑り対策工事が行われた。(写真下右が一の瀬右岸の地滑り指定地、樹木に葉がないこの時期には、集水井戸が見えた)
 その後(ダム建設のための)調査で、98年春には深度45mの深い地滑りが観測され、浅川ダムの総事業費は330億円から400億円に膨れ上がった。
 この間、県は地滑り防止法に定められている指定地の標識看板を立てていない。なんと立てたのは、内山氏に指摘されたからで、07年10月のこと。15年5ヶ月間、標識を立てなかったのは、たんに忘れたのか?ここが地滑り指定地ということを知らせたくなかったのか?
 いずれにしても、地滑り対策の基本は地下水対策で、そのために井戸や集水パイプで水抜きをするわけだが、ダムで湛水すると地下水位が上がる。地滑り対策とダムは相反するものだ。もっと言えば、地滑りのあるところにダムは造ってはいけないということだ。それにもかかわらず、試験湛水中に地滑りが発生した奈良県大滝ダムや、ダムが完成後に地滑りが発生して住民が被害を被っている埼玉県二瀬ダムなど、ダムと地滑り災害の事例は全国に沢山ある。しかし、行政側は「地滑りは予想できなかった」としゃあしゃあと言ってのけてきた。
 ところが、そろそろ国民をだませなくなって来たため、あるいは、浅川のような地滑り指定地にまでダムを造るために、国が次の手として考え出したのが、普段は水が貯まらない(河床に穴があいている)治水専用ダムだ。国も、そして国の犬に成り下がっていると言える村井県政も、何が何でも浅川ダムを造りたいというわけか。。。

 話を元に戻して、ダムの貯水容量は110万立方メートル、県が国へ申請した一の瀬右岸地滑りが浅川へ流入する土砂推定量260万立方メートル、ダム容積の倍以上の土砂が崩れて来たら一体どうなるのか?県は「260万は推定に過ぎない」と答えるのか?あるいは「押さえ盛り土などの対策工事をするから大丈夫」と答えるのか?あるいは「崩れそうな斜面は削り取り、コンクリートで固めるから大丈夫」とでも言うのか?
 しかし、260万立方メートルもの土砂が崩れるのを防ぐため、あるいは取り除く工事には、一体いくらかかるのか?想像がつかない。。。それに対するダムの治水効果は、、、疑問だらけのダム建設では、「治水効果という点で、ダムがどうしても必要であるという十分説得的な内容でなく、不十分」という淀川流域委員会の結論は、浅川にも、そっくりそのまま当てはまるということだ。

 さて、下記は村井知事が昨年度で廃止した事業の一覧だ。74件、6億円以上にもなる。村井知事は、これまで厳しい財政事情の中でも、長野県が踏ん張ってやって来たソフト事業を削り、国の言いなりになって国庫補助のついたハード事業を行うための県負担金分に充てるというわけだ。浅川ダムもその典型で、そのために、犠牲になるのは県民だ。
平成19年度までで廃止になった事業一覧


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