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2008 年 7 月 22 日    
反対派どころか推進派の学者の説にも反するお粗末な水理模型実験
〜さわやか早苗日記490〜
 先週16日に、浅川治水専用ダムの水理模型の公開実験が、京都府宇治市のコンサルタント会社実験場であった。
 実際のダムは、最大流量毎秒130トンのうち100トンをせき止め、30トンが穴から流れ出ることを想定している。
 新聞報道によれば、実験では、浅川流域住民ら応募した約40人が見つめる中、毎秒130トンに相当する同41・6リットルまで水量を増やし、約3時間半かけて検証。ダム下部の穴から、毎秒約29トンに当たる毎秒9・28リットルの水が流れ出た。
 また、(割り箸状の)疑似流木の94%は、満水時に最上流部となる地点に設けた柵で止まり、穴までは届かなかった。土砂も、大半はダムの上流で最も河床の幅が広い地点にたまり、穴を通って下流まで流れたのはわずか、穴はふさがらなかった。『実験は大成功』と自賛する県とは対照的に、見学に駆けつけた約40人の県民からは『肝心なことがわからない』と不満の声が上がったとのこと。

 住民たちが最も心配している、土砂崩れが起き、大量の土砂と流木が斜面から流れ込む危険性を検証するための、地滑りの実験は「技術的に不可能」と行われなかった。
 このため、新聞報道によれば、見学した県民からは「住民が一番心配しているのはダム湖の両側から大きな岩や根っこのついた流木が流れ込んで、穴が詰まるのではないか、ということ。その実験をすべきだった」「大洪水のときに、割りばしのような疑似流木や細かい砂が流れるとは考えられない」「浅川には土石流の際に流れ出す巨石がごろごろある。あらかじめ穴を詰まらせない条件をそろえたのではないか」「1995年の豪雨で、長野市豊野町の鳥居川に架かる橋の橋脚に、巨岩や根や枝がはった流木が引っかかり氾濫の原因となった」など、批判や不安の声があがった。
 イタリアのバイオントダム事故の映画をみたが、地滑りの実験を行っていた。結果は下流の町の模型が押し流され、公開実験ではなかったために、この実験結果は闇に葬られた。

 実験を見学した今本博健・京都大学名誉教授(河川工学)は「住民が最も懸念することに答えておらず、肝心のことは何もはっきりしない実験」と批判。実験で使った土砂についても、「百年に一度の洪水にしては量が少なすぎる」「模型実験では、もっと軽い比重の砂を使わなければ土砂の正確な動き方はわからない」と話したそうだ。
 私が今本氏に問い合わせしたところ、今本氏は感想を寄せてくれた。その一部を紹介させていただくと、「長野県は、本実験結果をもって実験目的がすべて満足されたとの結論を示しているが、土砂に関する事項は検証されたとはいえない。流木についても同様である。
 むしろ、供給した土砂のほとんどすべてがダムを通過しなかったことからすれば、『穴あきダムでも土砂の流下は妨げられる』というべきであろう。 いずれにしても、土砂の流動の相似性を重視した再検討が不可欠である。
 更に、浅川ダムで最も懸念されることはダム直上流での地すべりである。浅川ダムでの地すべりの発生を否定した専門家は奈良県の大滝ダムでも安全を保障していた。しかし、試験湛水中に地すべ りが発生し、この専門家の予測が信頼できないことが露呈した。
 このため、ダム直上流で地すべりが発生した場合にどうなるかを検討しておくことはきわめて重要である。しかも、この検討は実験ケースを追加することで容易にできる。穴が閉塞される可能性が大きいからといって、避けるべきではない。」と、今本氏は言っている。

 更に、今本氏は、穴あきダム推進派の学者・角哲也氏(京大)による「穴あきダムにおける土砂の移動説」をもってしても、土砂のほとんどがダム上流にたまったために、穴が塞がらなかったという今回の実験結果は「おかしい」と言っている。
角哲也氏の説によれば、
1、洪水前の状態では、安定的な河床が形成された後は、土砂も水も下流へ流下する。
2、洪水時には、水を貯留した状態で、土砂も貯留され、貯水池の上流端付近に一時的に堆積するが、洪水後 の水位低下とともに速やかに下流へ流下する。
3、洪水末期の状態では、水位の低下とともに土砂は 下流へ移動し、最終的にはダムから出ていく。
とされている。 これを、実験結果と比較してみると、
1は、ほぼその通り、上流から運ばれた土砂は、貯水池にたまることなく、ダム下流へと運ば れる。
2では、土砂が一時的に堆積するところまでは一致しているが、水位が低下しだしても土 砂はほとんど動かない。
したがって、3のように、土砂のほとんどすべてがダムからでていくとする角氏の説とは、明らかに一致していない。
と言うのだ。

 穴あきダムについて疑問を持つ学者や反対派からも、多くの疑問点を投げかけられたどころか、推進派の説にも反するような今回の実験とは、一体なんなのだ??
 県は、ダム推進に突っ走るあまりに、県の思惑にそった実験にしてしまったのではないか?結論に合わせて行う実験は、実験とは言えないはずだ!
 今本氏は、報道関係者として16日の実験に立ち会った、しかし、今本氏が中へ入ったことを知って、腰原副知事が激怒し、職員をしかったという話も聞いた。浅川ダム推進の総本山のような腰原副知事にしてみたら、専門家の意見はマズいのだろうか?県が自信をもって行った実験なら、専門家にもどんどん見せ意見を聞くべきなのに‥‥、そのココロは??
 今本氏は、ぜひ、角氏にも公開実験を観てもらいたいと言っている。8月5日には県議向けの公開実験が予定されているが、私はぜひ、県議たちと一緒に今本氏と角氏の両者や、その他関心のある学者に実験を観て、大いに議論していただき、それに県議は真摯に耳を傾けるべきと考える。いけいけどんどんの村井県政のチェック役は、県議だ。

(前回からの県議会での質問の続き)
 県が、浅川の地質調査を最後に行ったのは、ダムサイトは平成8年、地滑りについては平成11である。ずいぶん前のことで、流域の小中学校に子どもを通わせている親たちから、最新の地質・地形調査を求める意見書が、県や議会に提出されている。
 県は、安全性について、ホームページに掲載している、再調査は必要ないと言っているので、私は県議会の建設委員会で、「ホームページには、南東端の文献で指摘されている田子断層には、変異が認められず、西北端の裾花凝灰岩と一の瀬砂質シルト岩の境界の分布にずれがないことが判っているとあるが、変異が認められない、ずれがないというのは、目で確認したということか」と質した。
 県は、写真で確認したと答えた。
 しかし、実は、田子断層は扇状地に下にあるため、推定断層である。どのようにして確認したのか?はなはだ疑問だ。
 また、裾花凝灰岩と一の瀬砂質シルト岩については、治水・利水ダム等検討委員会の松島委員によれば、以前の地質調査会社の図面には、前の段階では、食い違いが書かれているが、あとからのものは消してある。これは、いかようにも出来るということだ。現在の調査レベルでは、ずれがないとは言い切れないはずと松島氏は言っている。
 県は一体何を目で確認したと言うのか?私は今、資料提出を求めているが、どんなものを持ってくるのか、楽しみだ。(次回に続く)

浅川ダム模型実験の朝日新聞記事


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