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2008 年 9 月 22 日    
合併しないという小川村の選択、今のままの暮らしを守るには?
〜さわやか早苗日記497〜
 19日は長野市のトイーゴで、「合併しないという小川村の選択から考える地方自治」というシンポジウムがあった。北海道酪農大学で地方自治が専門の河合博司教授が問題提起し、栄村前村長の高橋彦芳氏、小川村の村民の3名がパネリストでディスカッションが行われた。主催は、たぁくらたぁ編集室、みどりネット信州、新しい信濃の国。

 河合教授は、小川村の選択を「厳しい客観的状況下での自立の選択である」と話した。
 それは、長野市に隣接した小川村が、周辺の町村がが次々と長野市に合併してしまう中で、唯一自立を選択した自治体だからだ。自立を選択する過程では、5回の住民の意思表示が行われ(周辺3町村との合併の意向調査、長野市との合併の意向調査、村長選、村議選、長野市との合併についての住民投票)、先頃の住民投票の結果、100票差で自立を決めた。同時期の住民投票で、信州新町と中条村は長野市に合併が選択された。
 5回もの意思表示の結果、村民の間に分裂が生まれ、また高齢化の進捗など中山間地に見られる困難も顕在化しているからだ。

 しかし、河合教授は、小川村には自立を選択した多くの自治体とは異なる『小川村の自治力』があると評価した。
 例えば、栄村では高橋彦良村長というリ−ダーの存在や農民学校の開催の歴史などの基礎があり、それが自律の選択に大きく影響した。高知県の久保川町では原発の設置を巡り住民投票条例がつくられ、原発設置も合併もせずに来ている。
 調査に入り、小川村は、そのような他の自律を決めた地域とは様子が違っていると思っていたところ、小川村の老人が「今のままでいい」と言っていた。この「今のままでいい」という言葉にこそ、住民の想いがあるのではないかと気づいたそうだ。
 一人の強力なリーダーのもとではなく、住民主導で村づくりと合併協議を進めて来た小川村の自治力こそ、これからの地域社会がめざすべき『成熟社会=平和や環境を基盤にした持続可能な福祉社会』の底力になりうるものだ。
 このような小川村村民の営みと想いと活かすことが、21世紀の国づくりではないかと、河合教授は述べた。

 これに対して国はどうか?河合教授によれば、地方自治をめくる国政の動向は新段階に入って来ており、それは「国家統治機構の再構築としての道州制」であるという。
 今年3月、経団連が出した道州制導入に向けた第2次提言によれば『300〜500の基礎自治体に集約』、道州制ビジョン懇談会の中間報告によれば『2010年に道州制基本法案原案策定』『2018年までに完全移行』、7月の自民党道州制推進本部の第3次中間報告によれば『30万以上、少なくても10万人以上の700〜1000の基礎自治体』などと、道州制がらみで、更なる市町村合併を進めようというのが、国の意向だ。

 また、国はこれまでの平成の合併の検証として、「住民自治が不十分だった」として、「参加のシステムが大事だ」と言っているが、国の考える参加のシステムとは、住民の『ボランタリーな参加』であって、『意思決定への住民の参加』ではない。
 更に、国は、定住自立圏構想を打ち出し、5万人以上の中心市と周辺町村との連携に対して交付税措置を行うとしたが、これは中心市への集中に他ならない。
 そして、道州制基本法の制定による『中央政府ー道州政府ー基礎自治体の垂直的役割分担』という中央集権体制をめざそうとしている。つまりは、上からの役割分担の押しつけにより、国の自治と地方自治を区別し、地方自治体は身の回りの事をやるのみで、国政に対して意見を言ってはいけないというものだ。
 これは、地方自治は国政の基礎であると定めた現日本国憲法から、明治憲法の時代に逆戻りする事に他ならない。

 河合教授は、『小さいからこそ輝く自治体』をつくるには、『今のままでよいという住民の想いを現実にして行くための国家の役割とは何か?』ということから、議論をしていくことが、21世紀の国造りをする上で重要だと述べた。

 福良総理が辞任、総裁選後に解散総選挙か?と毎日報道されている。
 5人の候補者をお立ち台に立たせて大都市を巡り、衆議院選挙の事前運動にあたり、選挙違反ではないかと思われるような総裁選を演出した自民党。彼らには「今のままでよいという住民の想い」という地方住民の想いを実現しようなんて気持ちは、全く感じられない。自分たちの党の政権の存続が目的なだけだ。
 一方で、民主党の小沢代表は「就任以来、全国18万キロを駆け回り、国民生活の実態を見て、『何たることか。こんな思いをさせて申し訳ない』とくちびるをかみしめた。国民の暮らしも地域も壊れてきている。日本は主要国で下から4番目の格差大国になった。自公政権が市場万能、弱肉強食の政治を推し進め、社会から公正さが失われ、格差が拡大した。社会のセーフティーネットこそ、経済が持続的に発展するための大前提だ。格差を放置すると経済が機能不全に陥り、社会は崩壊する。今こそ、日本を変えるラストチャンスだ。」と述べたという。

 シンポジウムのパネリストの高橋彦良・栄村元村長は、「政府や財界は財政粛正が目的で、そこには住民の幸福とか自治は出て来ない」「村井知事は、市町村の自主性に任せると言いながら、81は多いと言っている。拡大した生活圏に自治体圏域を併せるのが望ましいというのが、県の立場だ」「長野市長に至っては、市の勢いを大きくしたいと、簡単に引き受けている。大きくなる事が発展だと思っている」と話した。
 そういえば、長野市って本当に懐が深いというか‥‥、いくら吸収合併と言ったって、長野市民はこんなにも「はいはいどうぞと」すんなり受け入れてしまってよいわけ?長野市民の意思表示とか示す場がなくてよいのか、老婆心ながら気になる。松本市だって、波田町との合併はすんなり良いですよとはせずに、松本市民に聞くと言っているのに‥‥。

 高橋元村長は、「社会的経済文化圏は広がったかもしれないが、日常生活圏は広いものではなく顔の見える範囲だ。定住に欠かせない農林業とか、住宅、教育、交通、防災などを衰退させないよう、『居住福祉』を守る事で、安全安心な暮らしが出来る。」と言っていた。
 大きな市と合併しても、外れになるだけ、『居住福祉』はむしろ守れないだろう。高橋元村長は、「広いところとは、交流をすればよいのであって、長野市に合併したところが万々歳になるとは思わない。財政は大きい市だって大変だからね」と、合併しないことを選んだ小川村にエールを送り、「住民投票により分裂が生まれたと言っても、合併に賛成した人も悩んでやったことで、互いに話して行く事で、修復は可能だ」「58の自治体が連帯して頑張りましょう」と言った。
 更に、「日本では、与党と一緒になって陳情政治を繰り返し、それがどういう結果を住民にもたらすのか逐一検証しない仕組みになっている。だから、住民の願う事(世論調査)と一致しない」とも言っていた。

 長年続いて来た陳情政治の仕組みを変え、今のままここで暮らして行きたいという住民の想いを実現するには、こんどこそ、自民党には与党の座から降りていただくしかない。


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