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2009 年 4 月 24 日    
二兎を追うもの一兎も得ず?小谷道路の事業凍結と、もう1本の松糸道路との関係
〜さわやか早苗日記511〜
 20日は、小谷道路の調査に行った。小谷道路はあと1.2kmで整備が終わるのに、国が3月31日に突然、費用対効果が低いことを理由に、事業凍結し再評価にかけると発表した。
 小谷村北小谷の国道148号「小谷道路」は、新潟県糸魚川市と小谷村を結ぶ5.7kmの名称。県境近くの新潟県大所トンネルの長野県方面出口から北小谷の小谷大橋までは、長野オリンピックや平成7年豪雨災害もあって、国の直轄事業として急ピッチで改良が進められた。しかし今回、凍結対象となった未整備区間(小谷大橋南の新光明橋から大町方面へ1.2km、外沢トンネル入り口まで)は、幅が狭く急こう配のカーブが多い難所のため、最後に残された区間となっていた。
 国道148号は小谷村を南北に縦断する唯一の生活道路だが、冬期は毎年、未整備区間付近でスリップ事故が多発し、渋滞が発生する。また、北陸自動車道を通らずここを迂回する大型車も多く、チェーンを付けず来た大型車が立ち往生して、何時間も交通止めになってしまうこともある。突然の国の発表には、「大型トラックの交通量も多く、死亡事故もたびたび起きている現実が考慮されていない」と、村長をはじめ、地元は困惑しているという。
 現場では、国の20年度補正などですでに発注済みの工事がおこなわれ、橋を架けるための橋脚も出来(写真上)、上部工事の準備が進められていたり、道路を谷側に張り出させて拡張するための法面対策工事が行なわれていた(写真下)。
 交通整理をしながら工事をしている横を、沢山の大型トラック、観光バス、長野県や他県ナンバーの一般車、軽トラなどがじゃんじゃん走って行く。写真と撮るために道路を渡るときも、車に注意をしないといけないくらい、車が頻繁に通る。現在工事中のところではないが、もう少し小谷大橋よりの崖斜面が迫ったところは、大型だとすれ違いが出来ず、交互通行を余儀なくされる箇所もある。

 現地を見たあと、糸魚川経由で上越市の国交省高田河川国道事務所に、現況などを聞きに行った。実は、小谷道路のことで高田事務所に行くのは、これで2度目だ。1度目は、2001年の5月ごろ、松本糸魚川連絡道路と小谷道路との関係はどうなるのか、知りたくて、ここを訪ねたのだ。勿論そのときは議員ではない。
 2000年に急に降って来た安曇野山麓を貫く波田起点の松糸道路だが、建設理由は「1本の国道148号しかない北の方にとって、もう1本の道路は生命を守る大事な道路、建設は必要不可欠」その手始めとして、安曇野山麓堀金〜大町15kmを建設するということだった。
 「安曇野には南北の道路が4本もあり、何故、必要ないところから造るのか?さっぱりわからない。北がそんなに必要なら、北からやれば良いではないか」、それが当時の穂高町民の大疑問点だった。プラス、私たちは北の方は、2本目の松糸道路より、小谷道路の未改良部分の1kmちょっとを、まず、ちゃんとした道路にしてもらうべきではないか?と言ってきた。

 2001年に高田事務所に一緒に行った大町のOさんが、今回も同行した。
 Oさんは、現地を見ている時に、「北山さん、こんなふうに、道の駅側から小谷大橋を見ていると、おかしいと思わない?」と言う。「どう見たって、新しく架けた小谷大橋は、山の方に向かっているでしょう(写真下地図)。国の当初計画では、現道改良ではなく、トンネル案だったという証拠だよ」と説明する。
 なるほど、現道と小谷大橋を結ぶ線形は、すごく悪い。未整備区間の狭隘・急勾配の現道もさることながら、たとえ整備されたとしても、整備後の道路をスピード出して下って来たところに、大きなカーブがあってから、小谷大橋というわけで、冬場に路面が凍結しているときなどは、恐ろしい感じがする。
 そう考えると、0さんの説明は的を得ている。では、なぜ、線形の悪さを差し置いて、トンネル案から現道改良に国の方針が変わったのか?2001年に高田事務所に行ったとき、Oさんは「現道改良ではなく、トンネルで整備すべきではないか」と尋ねている。そのとき、一緒に行った私のメモを読み返してみると、建設省北陸地方整備局高田工事事務所課長の言葉として、こんなふうに書かれている。
「小谷道路は県管理の国道だが、フォッサマグナなど地形的に難しいところのため、国直轄でやることになった。本来は関東エリアであり長野国道事務所の管轄だが、親不知のところの道路整備経験がある高田工事事務所でやることになった。」
「高田工事事務所の管轄範囲は沢山あり、やりくりを考えた時に、高い道路は造れない。」
「小谷道路の残り1.3kmは、現道拡幅。平成13年に設計に入り、調査は1〜2年で終わるが、JRが通っている厳しい居場所であり、何時終わるかは今の段階では言えない。」
「トンネルだと6年ぐらいで出来るが、費用が1.5倍かかる。トンネルも検討したが、拡幅の方でいくということになった。」
「(もう1本の道路計画の)松糸道路との住み分けを考えた」

 また、以前に0さんが県に情報公開請求した資料にはこんなのもある。2000年12月6日の長野県と建設省高田工事事務所の打ち合わせ会議記録だ。会議には、かつて、もう1本の松糸道路を進めていた県土木部道路建設課の職員が参加している。ちなみに県側トップは、この3月まで浅川治水専用ダム計画を進めて来た元建設部長の名前。
 記録によれば、県は「今までトンネルで施行するものと思っていた。今までの資料ではスノーシェッドがあったが今回はない。冬期間の交通安全上屋根が必要と思う」と、国に泣き言を言っている。
 トンネルから道路拡幅になり、スノーシェッドもなくされた。そして、今年の3月には道路拡幅にもストップがかけられてしまった。

 10年前に、長野県は、国道148号改良の最後の難所、小谷道路の残り1.3km(当時)をトンネルでしっかり造るよう、国に働きかけるべきだった。それを、最も道路のいらない松糸道路堀金・大町間15kmを、地元を巻き込みモーレツに働きかけて調査区間にし、既成事実を創り上げる一方で、糸魚川まで1本しか道がない、2本欲しいと言って来たわけで、まさに二兎を追うもの一兎も得ずになりかねない状況だ。
 今回も、Oさんは「もう、トンネルには戻れないですよね」と、高田国道事務所の課長に尋ねた。課長は「戻らないですねえ。それこそ、もう1本ということになり、益々、費用対効果が下がってしまいますから‥‥」と答えた。
 1999年当時にはじき出した、国道158と松糸道路という2本の道路が必要としたときの費用対効果は一体なんだったのか?当時と状況が違って来ていると言われるが、たったの10年で、国道1本の費用対効果が0.8で1を切ったと発表する、国交省って一体なんなの?少子高齢社会の到来は10年前にはわからなかったのですかねえ。そんな人たちが税金使って政治をやっているわけ?
 
 長野県の村井知事は、小谷道路の凍結に対して国を強く批判する一方で、「国はどうせちゃんとやりますよ」と楽観的な見通しらしい。1999年当時、波田起点〜糸魚川までのもう一本の松糸道路も、新進党から自民党に戻った国会議員だったあなたが旗を振っていたことも、お忘れなく!


参考資料:高田国道事務所「一般国道148号小谷道路の事業評価(平成14年当時の再評価)」


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